デスクトップ向け第11世代Coreプロセッサ正式デビューへ
以前からインテルの情報チラ見せ状態が続いていたデスクトップパソコン向けの第11世代のCoreプロセッサ、Rocket Lake-Sシリーズがいよいよ市場に出ます。
各パソコンパーツショップからも予約や店頭販売のダイレクトメールが流れ始めていますね。
主に自作PC向けCPU市場でAMDのRyzenシリーズの攻勢を受け続けているインテルの反撃の一手となるのか注目されている製品です。
基本はIce Lakeシリーズのマイクロアーキテクチャ
Rocket LakeシリーズのCPUはノートパソコン向けCPUに使われているIce Lakeシリーズ、これのマイクロアーキテクチャを最新のインテル14nm製造プロセスにフィットさせたものです。
インテルが本当に使い物になる10nmの製造プロセスの立ち上げ・製造の安定化にすごく苦戦したため、現在はまだデスクトップパソコン向けのCPUにそのキャパシティを回す余裕がないのだと思われます。
今、普通のパソコン市場の主力製品はノートPCですからね。インテルは完全にノートPC向けCPU優先で製造が動いています。
このため徹底的に枯れきった上に製造キャパに余裕のある14nmのラインを使うことにしたのでしょう。
消費電力には目をつぶらなくてはなりませんがRocket Lakeシリーズが製造される14nmプロセスで作られた製品は、Ice Lakeで使われる10nmの製造プロセスよりも300MHzほど高いクロックまで安定して回ります。
自作PCユーザーの多くは電力効率には目をつぶって絶対性能を求める層が多いと思われますから、そのあたりも考慮に入れた製品なのだと思います。
マイクロアーキテクチャがIce LakeのSunny Coveをほぼそのまま持ち込んだCypress Coveになったため、クロック当たり性能が最大19%向上。さらに512bit長のベクトル演算を扱えるAVX-512命令やディープラーニング向けのVNNI命令もサポート。
基本特性も大きく向上しますが、さらに特定用途での性能の大幅アップも期待できます。
GPUもXeベースに
デスクトップ向けの第11世代のCoreプロセッサでは統合GPUも新しいXeベースのものとなります。ただし外部GPUと組み合わされることが少ないノートPC向けCPUとは異なり、統合されるiGPUの規模が小さく抑えられています。
搭載される統合GPUの実行ユニット数は最大32EU。SP数に直すと256になるはずです。
それでも従来のインテルの統合GPUよりは規模が大きい上にXeアーキテクチャによる効率の改善で、統合GPUの性能は5割アップと言われています。
高解像度の写真のレタッチ、動画編集など、CPU性能は欲しいけれどグラフィクス性能はそこそこでいい、というユーザーもそれなりの数いますので、統合GPU搭載CPUをチョイスできるのもしっかり意味はあるのです、実は。
ハイエンドCPUを買う人みんなが最先端の3Dゲームを遊ぶ訳ではないですからね。
Core i3には第11世代がない
Rocket Lake-SのCPUと同時にリリースされるCore i3プロセッサは第11世代ではありません。モデルナンバーも11000系統ではなく10000番台のまま。
従来の第10世代のCore i3のクロック向上版ぐらいの扱いです。CPUのマイクロアーキテクチャも従来のまま、iGPUもXe系ではありません。
この部分にはちょっと注意した方がいいかもしれませんね。ただ、モデルナンバーの大台を変えてないので間違えにくいとは思います。
400番台チップセットの一部でも動くが
第11世代のCoreプロセッサは既存の400番台チップセットの一部を使ったマザーボードでも、BIOSアップデートで動作することがアナウンスされています。
が、すべての機能を使い切るにはやはり500番台のチップセットが必要になります。
例えば第11世代のCoreプロセッサではCPUから引き出されるPCIe4.0インタフェースのレーン数が16から20に増やされています。増えた4本分はPCIe接続のSSDに使用することを前提にしていますが、400番台チップセットのマザーボードではここに対応できません。
多くの第11世代のCoreプロセッサに対応できる400番台チップセット搭載マザボではPCI Expressスロットが4.0対応になっていますが、SSD用のM.2スロットはCPU直結状態にはならない訳です。
そういった部分まで性能を引き出しきりたいときにはやはりマザボ入れ替えが必要になると言うことですね。