久々のハイエンドGPU同士の性能競合。GeForce RTX3000、Radeon RX6000シリーズ
NVIDIAのGPU、GeForceシリーズの上位機種でハードウェアレイトレーシング対応のモデルが第二世代になりました。製造プロセスを1ステップ進めてその余裕を回路規模拡大に回し、大幅な性能向上を実現したGeForce RTX 3000シリーズです。
これに対し、AMDも今回はしっかりとカウンターを打ってきました。
ここしばらくGPUのハイエンドと呼べる機種を市場投入せずそのクラスでの直接の競合を避けていた感がありましたが、今回は違います。Radeonシリーズでは初のハードウェアレイトレーシングにも対応するRadeon RX 6000シリーズのハイエンドモデルを投入したのです。
今回はこの2つのGPUの概要をまとめてみます。
GeForce RTX 3000シリーズ
GeForceシリーズのハードウェアレイトレーシング対応機では第二世代となるGeForce RTX 3000シリーズ、まずはハイエンドモデルからの市場投入となりました。
第一段としてGeForce RTX 3090、3080、3070が登場済みです。
これらGPUの最大の特徴は製造プロセスを1ステップ進め、サムスンの8nmプロセスを使うことで大幅な回路規模の拡大を図ってきたことです。
結果現時点での最上位機種であるGeForce RTX 3090ではなんと、1万基以上のストリームプロセッサを内包するに至りました。
メモリバス幅も広く高速なGDDR6Xを使うことでメモリ帯域もHBM系に迫るほどのものを獲得。極めて高い実性能を実現しています。8K解像度でのゲームプレイを実現することをうたい文句にする製品になりました。
その代わり消費電力は大きく跳ね上がり、GeForce RTX 3090では350Wにも達します。
また、速くも同シリーズのミドルハイクラスに位置することになると思われる「60番台」、GeForce RTX 3060Tiも後を追う形で登場しています。
こちらでも1世代前のハイエンド、GeForce RTX 2080を超える性能を実現しています。
遂にハードウェアレイトレに対応するRadeon RX 6000シリーズ
AMDのRadeonシリーズはRX 5000シリーズでGPUのマイクロアーキテクチャを一新。PCの描画に最適化した構成に回帰しました。その代わり注目のハードウェアレイトレーシングはお預け。xboxやPlayStationの新世代機の世代のGPUにまでおあずけになることを明らかにしていました。
そのGPUが今回説明するRadeon RX 6000シリーズとなります。
こちらもRadeon RX5700シリーズから大幅に回路規模を拡大してきたのが大きな特徴の一つとなります。
最上位となるRadeon RX 6900XTでは5,120基のストリームプロセッサを搭載します。回路規模自体はGeForce RTX 3000シリーズに及びませんが、その代わりRadeon RX 6000シリーズは最大2GHzを超える動作クロックでその部分を補う設計思想のようです。
トータル性能ではGeForce RTX 3000シリーズに肩を並べるレベルを実現してきました。
かなり前からRadeonシリーズは最高性能の点での競争を最初から諦める流れが続いていましたので、かなり久々に2強によるGPUの性能競争が戻ってくるわけです。
また、Radeon系では初めてのハードウェアレイトレーシング対応となるのもこのシリーズの特徴となります。
消費電力はやはりなかなか強烈な数値となっていて上位機種では300Wに達します。
RadeonもGeForceも今世代のハイエンドモデルを使うためには、まず電源の見直しが必要になりそうな雰囲気です。
最低700Wクラスのものを考えないといけないでしょう。
競争があることで技術は磨かれる
今のPC向けCPU市場を見ると分りますが、AMDがRyzenシリーズで性能競争に復帰することによりインテルのCPU開発もスピードアップ。相乗効果によりいい循環が生まれています。
これはもちろんGPU市場にも同じことが言えるわけで、そういう観点ではAMDがハイエンドクラスの性能競争に復帰してくれたことはPCユーザーには非常にうれしいニュースとなるでしょう。
さらにインテルが独立GPUのハイエンドクラスにXeアーキテクチャで参戦することも予告されています。さらにこのジャンルが面白くなってきそうです。