Core i7-10700での電力設定の実際
第10世代のCoreプロセッサ、特に8コア、10コア製品では消費を許す電力の設定によってCPUの性格がガラッと変わります。
基本的に性能をしっかり出すには電力大食らいなCPU、という形になってしまい、パワーを出すときの電力効率は決して褒められたものではありません。ただ、絶対性能自体はしっかり出せるのです。
そうやって手元のCore i7-10700マシンでIntel Extreme Tuning Utilityを使ってあれこれいじっているうちにちょっと面白いことに気づきました。
タスクマネージャーとIETUの示す負荷が結構違う
Core i7-10700で遊んでいて気づいたことというのはこの節の見出しの通りです。
Windows 10のタスクマネージャーのパフォーマンスタブが示すCPUの負荷と、Intel Extreme Tuning Utilityが示す負荷の数値に結構な差があるのです。
タスクマネージャー側が100%振り切った状態でも、IETUで見るとほとんどのケースでまだまだCPUの動作負荷的に余裕があるのです。IETU側では70%程度とか。

そしてそういった状態だとCPUパッケージで消費する電力は100W以下に収ってくれます。
長時間パワーリミットとの兼ね合い
IETU側で見たCPU負荷が65%~70%程度の場合、上記の通りCPU側で使う消費電力は比較的大人しい水準で済みます。CPU負荷を見て80%に迫る状態になっていなければ、消費電力が125Wあたりを超えてきません。
長時間パワーリミットを125Wに限定していても、一般的な高CPU負荷のタスクだとパワーリミットに引っかかることがありません。つまり8コアブースト時の最大クロックである4.6GHzでずっと回し続けられると言うことです。
普通の動画エンコードソフトでもIETUでチェックするCPU負荷は70%程度に留まることが多いため、動画エンコードの処理をCore i7-10700で出せる最高の性能で処理出来るというわけです。
IETU側で見たCPU負荷の方が70%程度に収っていればCPUコア温度の方も安心できる数値に落ち着きます。うちのマシンの場合(CPUヒートシンクはNoctua NH-U12S)だと、室温25度程度でコア温度が65度前後です。
チップ的にはもっと高い温度を許容しているとはいえ、やはり80度とかに達するとちょっと気持ち良くないですからね。
実際の例
ペガシス最新の動画編集・エンコードソフトのTMPGEnc Video Mastering Works 7を使って実際の負荷の状況やコア温度などを見てみましょう。
フルHD、60p動画をH.264で圧縮してみるとこれぐらいの感じになります。

このソフトはCPUをすごくうまく使ってくれますので、IETUで見る実負荷が結構しっかり上がってくれます。このためCPUの消費電力は125Wをオーバーする時間が多くなり、パワーリミットがかかります。
ただ125W制限の中でも動作クロックは4.5GHzを超えてきますので、性能的なペナルティはわずかです。
実負荷が65%~70%程度程度のタスクだとCPUの消費電力は100W以下に収り、長時間電力制限の設定が125Wでもパワーリミットスロットリングが発生しません。
実際のタスクを使ってCPU負荷をかけたときの動作がこういった形ですので、偶然ではありますが著者の使用環境では長時間パワーリミットを125Wに設定するのは結構いい落とし所だったようです。
このレベルの発熱だと冷却能力も間に合っていて、真夏の利用でも安心できますし。
本来はこんなこと考えなくてもフルパワーを発揮してくれる製品が正しいのでしょうけれども、自作機を作るようなユーザーにはこういった「一手間」が楽しいと思える方も多いのではないでしょうか。
少なくとも著者はすごく楽しみました。今はもうほぼ最適解が出ていますので、この辺りを追加でいじってはいませんけれど。