TLCとQLCの二つのPCIe3.0x4接続のSSD、ADATA SX8200ProとCrucial P1
先日組んだ自作のデスクトップPC、ストレージ面もちょっと贅沢をしてみました。2つM.2タイプでPCIe接続のSSDを載せてみたのです。
システムドライブにはADATAのSX8200 Pro。TLCの3D NAND搭載で512GB。もう一つは主に写真のデータを保存する目的で、CrucialのQLC 3D NAND搭載のP1 1TBをチョイスしています。
この記事ではこれらのSSDの使い勝手などをザックリとまとめてみます。
それぞれのスペック
まずはそれぞれのSSDのスペックも簡単に確認しておきましょう。
ADATAのSX8200 Proは同社のM.2 SSDのハイエンドクラスにあたる製品ではないかと思われます。ネーミングルールなどが結構頻繁に変わっているようで、同ブランド内の製品同士の序列がちょっと分りにくいのですが、PCIe3.0対応製品ではかなり高速の部類です。
シーケンシャルリードは最大約3,500MB/sec、ライトは3,000MB/secとされています。ランダムアクセスはリード、ライト共に最大390kIOPSとされています。
ちなみに512GBモデルの寿命の目安となるTBWは320TBWと十分です。TLCチップでも3D NANDのものはやはり寿命がぐんと長いですね。
Crucial P1のほうはセルがQLCを採用していることからも分るように、やや性能を抑えてコストを重視したタイプです。インテルの660pあたりと同クラスです。
公称スペックはシーケンシャルアクセスがリード最大2,000MB/sec、ライト最大1,700MB/sec。ランダムアクセスはリード170kIOPS、ライト240kIOPSとされています。
QLCチップを採用した分、寿命はやや短めで1TBモデルでもTBWは200TBWとなっています。まあ、少ないとは言え全領域200回の書き換えは保証されているわけですが。
まずは簡単なベンチマーク
とりあえずどちらも定番のCrystal Diskmarkで性能をチェックしてみました。
ADATAのSX8200 Proは一部公称スペックに及びませんが以下のような数字を出しています。

小さなファイルのランダムリード、シーケンシャルライトが少し公称値より少なめです。このあたりは測定環境で大きく数字が変動しますので、公称値通りの数字を出す方が難しいのですけれど。
実用上は何の問題もない十分以上の性能です。
続いてCrucial P1。
以下の数値となりました。

こちらはほぼ完全に公称値通りの性能を出しています。PCIe3.0x4接続の高速タイプのSSDよりは1ランク落ちる性能ではありますが、こちらも十分に高速と言える数字ですね。
ランダムアクセスも十分に高速ですのでやや短めの書き換え回数の上限が問題にならない使い方なら、システムドライブにも十分に使えるだけの能力はあります。
高速になったM.2 SSDでしばしば問題になるのが発熱によるサーマルスロットリングと、その影響から来る性能ダウンです。
並行してCrystalDiskMarkでSSDに負荷をかけつつCrystalDiskInfoでザックリ温度をチェックしてみましたが、SX8200 Proのほうが最大48度、P1のほうは最大50度に収っていました。
性能が低めのP1のほうが温度が高いのがちょっと意外です。
ただ、著者の環境ではマザーボードのASRock Z490 Steel LegendにはメインとサブのM.2 SSD両方に結構がっしりした無垢のアルミ材と思われるヒートシンクがついています。ヒートシンクにはきっちり熱伝導シートも準備されているものですので、十分にSSDの放熱は出来ていたようです。
しかし結構しっかりしたあのヒートシンクとの組み合わせでも目に見えて温度が上がるわけですから、やはり今のPCIe接続のSSDには何らかの冷却の仕組みが必須と考えた方が良さそうです。
大げさなものである必要はありませんがヒートシンクを付けるかエアフローを工夫するか、どちらかに手を入れることで無駄な性能低下を回避できるでしょう。
チョイスの理由。すごく安かったから
実は新PC構想の最初の頃にはメインのSSDにはWDのBlack 250GBを、写真データ用のSSDにはどこかのお手頃価格のSATA3接続のSSDを使うつもりでした。
それを変更したのはやはりお値段。どちらもかなりお買い得価格で入手できたのです。
ADATA SX8200 Proは512GBの容量ながら1万円を切る価格で、Crucial P1のほうは1万3千円程度のプライスタグがついていて、SATA3接続の1TBクラスとほとんど差がなかったのです。
すごくお得な買い物が出来たと自己満足しています。
まとめ。SX8200 Proは当然高速。P1をシステムドライブに使っても大丈夫
システムドライブに使っているADATA SX8200 Proはスペック通り十分以上な高速性能を発揮してくれています。マザーボードから何から一新していますので正確な比較にはなりませんが、Windows 10起動もかなり高速になりました。
通常の使い途でのキビキビさもさすがです。
実用上の感触に関してはこれ以上の性能、例えばPCIe4.0対応のSSDが出たとしても、実感できるような体感性能アップは望めないのではないでしょうか。
また、Crucial P1のほうも高速タイプのM.2 SSDに比べればベンチマークの結果はやや劣るものの、SATA3接続のSSDとは比較にならないレベルの高性能です。TBWの少なさが問題にならない用途なら十分に使える性能があります。
著者は割とハードにPCを使いますが、それでもシステムドライブへの書き込みは1日平均20GB行くかどうか。この計算で行くなら、TBWが100TBのP1の512GBモデルでも14年ぐらいは使える計算になります。
普通なら他のパーツが先に陳腐化したり故障してPC買い換え、または作り直しになりますよね。
とりあえずどちらのSSDも非常にコストパフォーマンスが高く、満足のできる製品でした。
普通に使っていれば寿命は全く問題になりませんが、故障面の信頼性はこれからじっくりつき合って確認していきます。