真の新世代のAMD製GPU、Radeon RX5700を試す

SAPPHIRE PULSE RADEON RX 5700 8G GDDR6 HDMI / TRIPLE DP OC W/ BP (UEFI)

著者は先日、メインで使っているデスクトップPCをかなり久々に一新しました。

その際、ビデオカードももちろん最新のものに入れ替えたのですが、チョイスしたのはNVIDIA製品ではなくAMDのRadeonシリーズにしました。

一つここには大きな理由があったのですが、実はあてが外れてしまった部分でもあったりします。

この記事では本当の意味での新世代のRadeonシリーズの第一段となったRadeon RX5700の使いごこちをレポートします。

マイクロアーキテクチャ一新でグラフィック処理に最適化

まず簡単に新世代のRadeonシリーズの仕様をチェックしておきます。

Radeon RX5000番台ではGPUのマイクロアーキテクチャが一新されました。それ以前のRadeonシリーズはGCNと呼ばれるMAを採用していて、汎用演算(GPGPU)とグラフィクス処理の効率の両方をそこそこのところでバランスさせる作りになっていました。

ここ数年以上GPU市場ではNVIDIAが非常に好調でRadeonは完全に後れを取る形になり、製品展開にもそのあたりが影響していました。

NVIDIAが汎用演算向けのGPUとグラフィック用のGPUを完全に別設計出来る余裕があったのに対し、AMDではそれが出来ずGCNアーキテクチャはある意味「妥協案」となっていました。

その関係でRadeonシリーズはグラフィクス処理の効率面でGeForceシリーズに大きく水をあけられていたのです。これを一気に改善してグラフィクス処理専用化で効率を改善したのがRadeon RX5000番台で採用したMA、Naviです。

従来のRadeonと比べ劇的と言っていいぐらいに効率よく描画を行えるようになっています。

Radeon RX5700はSP数に換算すると2,304個のシェーダプロセッサを搭載しています。コアの動作クロックは最大1.7GHz級。

製造プロセスが7nmになった関係で回路規模を大きくしすぎるのは厳しく、SP数を無闇に増やすのではなく動作クロックと処理効率の向上で性能向上を図っています。

ビデオメモリは高速なGDDR6対応でメモリバスは256bit。8GBの容量を持ちます。

典型的なゲームシーンでの消費電力は180W程度が想定されています。

・まずはベンチマーク

まずは性能面をチェックするために3つメジャーなベンチマークソフトを実行してみました。

定番中の定番3DMarkでは、グラフィクススコアが8070ポイント。

Radeon RX5700の2倍以上の数字を叩き出しています。

SP数は約15%増し。動作クロックはおおむね35%高速化ですので、ザックリと計算してみるとRadeon RX5700はマイクロアーキテクチャの改善による処理効率アップで約35%もの性能アップを果たしていることになります。

次にドラクエXベンチですが当然のごとくの「すごく快適」評価。

ここまで来るとこのクラスの軽いベンチマークソフトではもうスコアは頭打ちで、これ以上の数字を出すなら高フレームレートのモニタを使うしかないのかもしれません。

次に超重量級のファイナルファンタジーXVベンチマーク。

フルHD、高画質設定で実行してみましたが、ベンチマーク実行中の表示はとても滑らか。特にフレームレートが大きく落ちるシーンには気づきませんでした。

スコアの方は6500ポイントほどで快適評価になっています。

しかしこのベンチマークを実行していて驚いたのですが、タスクマネージャーで確認したビデオメモリの使用量がなんと6GB超。ついこの間まで標準的だったVRAM 4GBのビデオカードではフルスペックの画面表示は出来ない、という形になるのでしょうか…。

とりあえずRadeon RX5700はハイエンド級ではないものの、ほとんどの3Dゲームタイトルをかなり高い設定でも問題なく動かせる性能がある、と言うことは出来そうです。

消費電力はどんな具合?

少し使ってみての消費電力の雰囲気はものすごくザックリとまとめるなら、以前のメインPCで使っていたRadeon RX570と似ている感じです。FF VXベンチなど高負荷のソフトを動作させても滅茶苦茶消費電力が上がるような感じはありません。

まあTDP通り、ということでもありますね。

Radeon RX5700は補助電源コネクタが8pin+6pinの構成で通常の使い方での消費電力は180W程度を想定しています。新PCでは750Wのゴールド電源をチョイスしたので電源の容量的にはかなり余裕を持った構成になっています。

3DMark実行中の消費電力はこんな感じでした。

今回組んだPCはCPUにCore i7-10700を使っていてこちらをフル稼働させるにはかなり電力的に大食らいの製品となりますので、電源には余裕を持たせて750W製品を使っていますがここまでは必要なかったかも。

CPUとGPUが同時にフル稼働するシーンってまずありませんし。

そういったことを考えると600W程度の電源でも十分かもしれません。CPUがTDP 65W程度の製品なら500W級の電源でもいけるかも。

Windows 10のゲームDVRでキチンと使われる動画エンコーダ

Windows 10には標準で動画キャプチャシステムが組み込まれています。その名前がGameDVRです。名前こそ「Game」が入ってはいますがゲームだけでなくほとんどすべてのアプリの動画キャプチャがいけます。

そしてGameDVRが優れものなのは使っているGPUに動画のハードウェアエンコーダが搭載されている場合、それを自動的に活用してくれるようになっていることです。

Radeon RX5700でもここは大丈夫でした。タスクマネージャーで確認しましたが、キッチリ内蔵ハードウェアエンコーダが使われていました。

記録した動画の画質もなかなかです。

場合によってはゲーム本体でスクリーンショットを撮るより、GameDVRで動画キャプチャしたデータから1コマを切り出した方が綺麗なケースもあるぐらいです。

実は使えなくなっているFluid Motion

今回PCを新調するときにGPUにGeForceシリーズではなくRadeon RX5700を選択したのは、動画のフレームレートのアップコンバートが可能なFluid Motionの存在を意識していたからです。

通常遊ぶゲームタイトルにレイトレーシング対応のものもありませんし。

ですが実際に導入してみてビックリ。まあ、事前の調査が不足だったってことではあるんですが、実は今現在、Radeon RX5700ではFluid Motionが利用できません。Radeon Softwareのメニューにその項目がありません。

さらにBlue Sky Frame Rate Converterで強制的にFluid MotionをONにする設定を行ってみましたがダメでした。

ここはすごく残念です。

ただ、別GPUの動作を見ていたとき、雰囲気的にFluid MotionはGPUのシェーダのプログラムでソフトウェア的に動かしているような感じがありました。

もしこの想像が正しいならば、今後のドライバーの改良でFluid Motionが復活する可能性もある、かも?

個人的は期待したいですね。

まとめ

Radeon RX5700は回路規模が大きくなっているのに加え動作クロックが大きく上がっています。ですが消費電力の感触はRadeon RX570と大差なさそうな使用感です。

この辺りに7nmに進化した製造プロセスの電力効率の優秀さが見て取れます。

単純な3D性能の面ではこのGPUはGeForce RTX 2060あたりと比較されると思いますが、3Dの処理効率ではまだRadeonシリーズはGeForceに追いついてはいないようです。ただ、かなりいいところまで迫ってきてはいる感じですね。

ただ、同レベルの価格を実現しているGeForceシリーズはリアルタイムレイトレーシングの機能を搭載しており、その点ではRadeonシリーズにまだ明確なハンデがあるのも事実。

ですので本当の勝負が始まるのはPlayStation5がリリースされる頃になって、Radeonにもリアルタイムレイトレーシングのハードウェアが搭載されてからになるのでしょう。

そういった機能、性能面での弱点を補う意味でも個人的にはFluid Motionの再リリースに期待したいですね。一見地味ですが、他にはないRadeon独自の価値観を実現する優秀な機能だからです。

今後のハードウェア・ソフトウェアの開発にも期待したいところです。