Chromium版Edge正式リリース

Windows 10では標準の状態だとEdgeが既定のブラウザとなっています。このEdge、最近のバージョンだと結構普通に使える機能を備えるようになっているのですが、初期の未完成のイメージをいつまでも引きずっているのか、全くブラウザシェアが上がっていません。
そんな中、マイクロソフトがEdgeのエンジン部分をChromeなどと同じChromiumに変更することを発表して非常に大きな話題となりました。
そうして順次開発が進んできたChromium版Edgeですが、遂に正式版のリリースに到達しました。
すぐに試したい人はインストーラーを
Chromium版の新EdgeはいずれWindows Updateに載って落ちてくることになっています。海外では1月以降順次展開の予定となっています。
が、日本では4月1日まで延期されることになっています。
これは日本独自の事情を勘案したからで、e-Taxの仕組みを使った確定申告の電子申告に配慮した結果です。
e-Taxのサイトで正式にサポートしているブラウザはOS標準のもののみ。つまりWindowsだとIEとEdgeでしか動作しないと言うことです。そしてこのEdgeはChromium版ではない「旧」Edgeのほう。
実際にこのタイミングで新しいブラウザがリリースされたとしても動作検証が絶対に間に合いません。ですので新Edgeがリリースされて旧Edgeをリプレイスしてしまうと確定申告で困るユーザーが出てくる可能性が高いわけです。
このためのWindows Updateによる更新延期ということですね。
ですので日本で真っ先に新Edgeを試したいときにはEdgeの公式サイトからインストーラーをダウンロードして手動実行する必要があります。
https://www.microsoft.com/en-us/edge
こちらのインストーラーを実行して新Edgeを導入すると通常は旧Edgeは消えますのでご注意を。
e-Tax側でも新Edgeでの動作確認を進めているようです。が、やはり一部の機能はうまく動かないようで、Edgeを更新してしまったときにはIEを使ってくれ、とのアナウンスが出ています。
らしくないEdgeの存在意義は?
完全なマイクロソフトオリジナルの、旧Edgeは他社のブラウザとはちょっと違う独自の使い勝手がユニークなアプリでした。使い勝手も決して悪くはなかったです。
ですがChromiumを採用した新Edgeは一言で言うと「Edgeっぽくない」インタフェースを採用しています。ぶっちゃけChromeとあんまり違いません。
ただより一般的なUIに変わった分、使い始めの戸惑いなどはほぼなくなったと言っていいと思います。
そうなると今度はなぜEdgeが必要なのか、と言う疑問が出てきます。Chromeでいいんじゃないの?となりますよね。
ここには多分完全な回答はないと思います。
それでも大切なのは「標準ブラウザであること」なのではないかと思います。e-Taxのサイトもそうですが、OS標準のブラウザしか正式サポートしないWebサービスも中にはある、ということですね。
加えてセキュリティに極めてシビアな組織ではサードパーティ製のソフトウェアのインストールを禁止していることもあります。そういった際には既定のブラウザがWeb標準に出来るだけ近い作りになっていると色々な面で問題が起こりにくくなります。
今のWebの世界の事実上の標準はChromeでありエンジンのChromiumですから、マイクロソフトの判断は妥当なのかもしれません。
また、新EdgeでもIEでしか動かないサイト・サービスのためにIEモードが搭載されています。
HTMLエンジンの多様性が消える懸念
Edge独自のエンジンが消えることにより、世の中のブラウザの中心部はほぼすべてChromiumになります。このため場合によっては本当のWeb標準規格ではなくChromiumの仕様が事実上の標準になってしまう可能性があります。
ここの部分は今後何らかの問題になってくるかもしれません。
例えばChromium側に何らかのバグがあったとしても他の環境が少なくなってしまうので、相互検証が難しくなる可能性はありますね。
生物多様性の問題ではありませんが、ソフトウェアも多様性が失われると色々な面で脆くなるのです。