初Ryzen。エントリークラスのRyzen 3 3200Gを試してみた!

AMD Ryzen 3 3200G with Wraith Stealth cooler 3.6GHz 4コア / 4スレッド 65W【国内正規代理店品】 YD3200C5FHBOX

今、パソコン用CPUには大きな地盤変動が起きています。10nm世代の製造プロセスへの移行で大きな苦労をしたインテルが14nm世代のCPU製造にも支障をきたしたようで、インテル製CPUのかなり厳しい品不足が続いているようです。

そういったタイミングも上手く捉え、久々にこの市場で存在感を大きくしているのがAMDです。

この状況とだいたいタイミングを同じにする形で、電力効率だけでなく実性能も非常に優秀なRyzenシリーズのCPU開発に成功したのもAMDの大きな力になっているのは間違いありません。

Ryzenとは?

多くのPCに詳しいユーザーにとっては今さら感満点だと思いますが、改めて一度AMDのRyzenというCPUの中身をザッと確認しておきます。

AMDのRyzenシリーズの前のCPUコアのアーキテクチャはかつてのインテルのPentium 4的な性格を持つもので、CPUの作りを比較的シンプルにして動作クロックを上げやすくし動作クロックで総合性能を上げようとしたCPUでした。

が、結局実性能を引き上げることが出来ず、RyzenシリーズではAMDも原点回帰というべき方向に舵を切り直しました。クロックあたりの性能=IPCを高く出来るアーキテクチャを採用してそこそこのクロックで高性能を出せるチップに仕上げました。

RyzenシリーズはAMDが新CPUを作るときの文法に則り完全新作でゼロからスクラッチしたマイクロアーキテクチャ(MA)になっているため、インテルの現状のCoreプロセッサよりもクリーンで効率の良いハードウェアに仕上がっています。

この辺りが電力効率の高さ、ダイサイズの小ささにも繋がっています。

元々4つのCPUコアを基本単位として拡張性を考慮したアーキテクチャを取ることもRyzenシリーズの特徴です。よりローパワーな2コアCPUなどを作りにくい構造にはなっていますが、性能が高い方向への柔軟な対応が可能な仕組みを最初から備えています。

それが8コアCPUや一般向けPCにも対応可能な16コアCPU、さらに同じアーキテクチャでより高い性能を目指す多コアのサーバ向けCPUへの迅速な展開も可能にしています。

Ryzen 3 3200Gのスペック

このたびRyzenシリーズのエントリークラスにあたるRyzen 3 3200Gをじっくり使う機会に恵まれました。まずはこのCPUの特性を色々とチェックしてみようと思います。

最初にこのCPUのスペックを見ておきます。

Ryzen 3 3200Gは第2世代のRyzenシリーズの4コアのCPU部とRadeon Vega 8のGPU部を統合したチップです。AMDが言うところのAPUのポジションになるCPUです。

動作クロックは定格3.6GHz、ブースト時最大4GHz動作が可能です。

TDPは65W。リアルクアッドコアのCPUに統合GPUとしては比較的規模の大きめなRadeon Vega 8を持ちつつ、一般的なデスクトップパソコン向けCPUの消費電力・発熱に収めています。

製品ラインアップの兼ね合いもあるのでしょうが、Ryzen 3ではSMT(≒HT:ハイパースレッディング)機能が無効化されていて、4コアCPUで4スレッドの同時実行までの対応になっています。

CPUコアのMAは最初の世代のRyzenシリーズとほぼ同等で、製造プロセスにGlobalfoundriesの12nmプロセスを採用しています。が、この製造プロセス、「微細化はしていない」ことには注意が必要です。

16nm世代の改良版の製造プロセスで電力効率や動作クロックなどは向上します。その余裕を活かして新しい物理設計を使うと「12nm相当の実装密度が実現可能」とされているものです。

第2世代のRyzenシリーズでは物理設計に変更はないので、16nmプロセスとダイサイズに違いはありません。

ただこのシリーズのRyzenでは電力効率の向上の恩恵にはあずかれていて、同じTDP枠で少し動作クロックが向上しています。

十分に高いCPU性能

RyzenシリーズになってのCPUコアのウリはクロックあたり性能、IPCの高さです。マイクロアーキテクチャの中身から見ると第6世代のCoreプロセッサと同レベルかそれを超えるぐらいのIPCは実現できるはずです。

純粋なCPU性能を見るベンチマークの代表格がCINEBENCHですが、UWP版のCINEBENCH R20を1スレッドと4スレッドで実行してみました。

1スレッド実行だとだいたい1コアあたりの性能が見えてきます。

Ryzen 3 3200Gでは1スレッド実行のスコアが367ポイント。4スレッド実行で1445ポイントとなりました。

3.7GHz駆動のPentium G5400の1スレッド実行時のスコアが334ポイントでしたので、ほぼ1割程度はRyzen 3 3200Gのほうが高いCPU性能と言うことになります。

ベンチマーク実行時にRyzenは概ね3.8GHzで動作していました。動作クロックの差を考慮に入れてもRyzenのほうがIPCでも上回っているように見えます。

CPUは4スレッド同時実行までの対応ですがリアル4コアな分実性能は十分に高く、2コア4スレッド対応のCPUとはひと味違う性能が出ていますね。

動画のソフトウェアエンコードや高画素のデジタルカメラのRAWデータの大量現像処理など、ごく一部の非常に重たい処理を除き、普通の使い途でこれ以上のCPU性能が必要な処理ってまずないのではないかと思います。

3Dでもライトゲームは十分に動く統合GPU

Ryzen 3 3200Gに統合されているGPUはRadeon Vega 8です。

最新のAMDのGPUのMAではありませんが、比較的グラフィック処理の効率が良いGPUになっています。AMDのGPU統合型CPUの血統を受け継いで比較的規模の大きなGPUになっていますので、ある程度のレベルの3D性能が確保できています。

GPUの規模としては8GPUコアを搭載していてストリームプロセッサ数としては512SP相当。Irisブランド以外のインテルの統合GPUよりもかなりパワフルです。

実際ドラクエXベンチマークを動かしてみると、フルHD解像度、高画質の設定でも「すごく快適」の評価になる8000ポイント以上のスコアを叩き出します。

ドラクエXは3Dものとしてはかなりライトなゲームタイトルではありますが、このクラスのグラフィックのゲームならば外部GPUの必要性はもはやなくなっているわけですね。

さすがに3DMarkでは通常のTimeSpyのベンチマークでもかなり重く、スコアは1000ポイントちょっとに留まります。

動画再生マシンとしても好適

Ryzen 3 3200Gの統合GPUでも動画のフレームレートを上げるFluid Motionが使えます。ですのでお手頃価格の動画再生マシンとしてもとても適したパーツと言えると思います。

CPUが1万2千円ちょっと。マザーボードはB450チップセットのものだと8千円ぐらいから。

今はSSDもメインメモリもとても価格が下がっていますので、お手頃価格でかなり色々な用途に高次元で対応できるコンパクトなパソコンを組み上げることも出来ます。

オススメ度高し

Ryzen 3 3200Gを中心に据えてくんだマシンはかなりのお手頃価格ながら、パソコンとしての性能が全方位的に良い水準にあって、色々なユーザーにお勧めできる中身を持ったパーツです。

Pentium Gを使うPCよりは少し価格帯が上になりますが、その差額分以上に十分なCPUパワーと統合GPUのパワーを兼ね備えています。

加えてインテルCPUでは実現できない動画再生を強力にサポートする機能、Fluid Motionもあります。

使い途によってはメインマシンとしても十分に通用するパワーがありますから、非常に多くのユーザーにお勧めしたい構成の一つですね。