SSDの寿命のおはなし

SSDが使われ始めたときや、MLCタイプのフラッシュメモリが使用され始めたとき、そしてTLCタイプのフラッシュメモリが採用され始めたときにも必ず不安視されたのがSSDの寿命の問題。

実際、現在のSSDやSDカード、USBメモリで使われているNANDタイプのフラッシュメモリは1セルに限ってみるとビックリするぐらいに書き換えに関する寿命は短くなっています。

MLCタイプで1万回、TLCタイプで数千回程度が寿命の目安とされています。

このためSSDもあっという間に劣化して使えなくなってしまうのじゃないか、そういった不安から、SSDが登場し始めた頃には使用を避けるというか「忌避する」ユーザーも多かったようです。

今では有名メディアなどではそういった情報は見かけなくなっていますが、実際の寿命の方はどうなのでしょう?

限りある書き換え回数を最大限活かす仕組み

フラッシュメモリ自体は「書き換え回数」にあまり高くない限界がある媒体です。

このため1箇所に書き換え処理が集中してそのセルだけ先に寿命を向かえてしまうことがないように、書き込みを減らしたり分散したりする機能がSSDには備わっています。

SSD同様に書き換え回数に制限がある媒体で使われてきた技術ですが、「ウェアレベリング」というものが使われます。

また、短時間で激しく同じデータを書き換えるような処理では、DRAMキャッシュがフラッシュメモリ本体への書き込みを減らすバッファになってくれます。

これらの機能によって、実装されたフラッシュメモリの劣化度をできるだけ均等にするように調整が行なわれていて、論理的な限界にかなり近いところまでフラッシュメモリの寿命を「使い切る」ようになっています。

このためSSD、USBメモリ、SDカードなどは、フラッシュメモリ1セルの寿命からの単純な連想ではちょっと想像できないぐらいに長期間利用が可能になっています。

寿命の一例

著者がメインのデスクトップパソコンで使っているSSDはNVMe対応でPCI Express接続、容量256GB、TLCタイプのフラッシュメモリを採用しているモデルです。

このフラッシュメモリのメーカー保障上の寿命に相当するのは、総書き込み量にして150TBと言う数字です(=150TBW)。

SSDへの書き込みの総量が150TBになるまではメーカー側が基本的な動作を保証します、という数字ですね。

すごくザックリした計算では、使われているフラッシュメモリの全セルが600回の書き換えまでは動作を保証します、と言うことになります。

TLCタイプでは数千回の書き換えが寿命の目安とされていますから、結構大きめの余裕を取った数字とも言えるでしょう。

そして実際は?

このSSDを使っているマシン、著者がさまざまな作業をする際のメインで使用しているもので、毎日合計10時間以上は稼働していてかなりハードに使用しています。

そういった結構厳しい条件のマシンのシステムドライブでの1年半の使用で、総書き込み量は14TB弱となっていました。

これまたザックリとした計算ですが、トラブルさえなければまだ15年はSSD自体は持つということになります。

一般的なHDDは5年とかそれよりも短い時間を目安に交換を考えた方がいいとされる程度の寿命ですから、結構ハードに使いまくったとしても、SSDの実際の寿命というのは多くのユーザーが想像しているのよりずっと長いのではないかと思います。

さらに最近はフラッシュメモリの容量は3次元方向にダイを重ねる方向で稼ぐようになっています。64層の3D NANDならば8倍の微細化を行なったのと同等の効果がありますから、フラッシュメモリの製造プロセスを微細化する必要がありません。

フラッシュメモリの1セルが大きければ書き換え回数の面では大幅に有利になりますから、最新の大容量のフラッシュメモリは実は寿命が延びてきているわけです。

このような改善が加わったこともあり、通常の使い方ならばSSDの寿命を気にかける必要はまずないと言っていいでしょう。