PCモニタなのにローカルディミング採用。ASUSの新32型4Kディスプレイ
ASUSがPC用液晶ディスプレイとしては恐らくウルトラハイエンドになると思われるすごい製品をホームページで公開しました。
まだ規格化されていない「DisplayHDR 1400」のプレ認証を取得した、と明らかにしている機種です。
後ろの数字の1400はディスプレイが表現可能な実際の明るさのピークのことを表していて、最大輝度が1,400nitをクリアできることを示します。
通常のPC用ディスプレイだともっとも輝度を上げたとしてもせいぜいが400nitとか500nit程度のはずですので、明るい側の表現の幅の絶対値が大幅に広がることになるわけです。
見せかけのコントラスト比だけでなく絶対的な輝度差を大きく取れて、本当の意味でのHDR体験を可能に出来るという意味の規格な訳です。
今回はASUSが発売する、恐らくはウルトラハイエンドとなるであろうPC用ディスプレイ、ProArt Display PA32UCGを取り上げます。
PC用ディスプレイなのにローカルディミング
まず「ローカルディミング」という言葉の意味から記しましょう。
これは液晶ディスプレイのダイナミックレンジ、コントラスト比の限界を突破するために、バックライトの明るさを制御してダイナミックなコントラスト比を拡大するための技術の一つです。
ローカルディミングでは画面全体の明るさを落とすわけではなく、バックライトをディスプレイの中で複数のエリアに分割して制御します。その分割の単位はさほど多数ではないはずですが、とても明るい部分と非常に暗い部分が同時に一画面に存在するような映像でも無理なくより鮮烈な輝度差の表現が行えるようになります。
もちろん、明るい部分と暗い部分が非常に接近していた場合には、バックライトの明るさ制御による輝度差の表現は上手く働かないという限界はあります。
ですが、1つのバックライトだけで画面全体の明るさを変化させるよりもはるかに自然な輝度の表現力の高さを実現できるようになります。
これまでこの技術はハイエンドクラスの液晶テレビで使われてきていましたが、それがついにPC用ディスプレイにもやって来た、ということですね。
パソコンのディスプレイも事務系の作業やプログラミング作業などだけを考えるなら、ローカルディミングの仕組みは不要です。が、映像コンテンツや最近の極めてリアルで美しいCGを使ったゲームの映像美まで味わい尽くすには、そろそろ普通の液晶では無理が出始めた、と言えるのでしょう。
さらにProArt Display PA32UCGでは制御されるバックライトのエリア数が1,152ゾーンもありますから、かなり破綻が少ない表現が出来そうです。
さらにハイフレームレート対応
ProArt Display PA32UCGは32型4Kでとても広い色域を持つ一般的な使い方でもハイエンドと言える性能を持つディスプレイですが、最大120Hzの非常に滑らかな表示が可能な極めてユニークな特徴も持っています。
応答特性が特別に高速なわけではないので極めてシビアなゲーム用途には向かないと思われますが、事務作業やソフトウェア開発、クリエイティブワークなどで疲れの少ない作業が行えそうです。
映像入力もかなり特徴的で、Thunderbolt3入力・出力を1つずつ持っています。
さらにHDMIを3系統、DisplayPortコネクタもありますので、今の高解像度ディスプレイの環境に十分以上対応できるないようになっています。
準拠する規格上のディスプレイの最大輝度は1,400nitですが、ディスプレイ側の上限としてはなんと1,600nitをクリア。映像コンテンツの非常にダイナミックな表現が可能になりそうです。
価格の方もおそらくウルトラハイエンド級のプライスタグになると思われますが、内容的にも唯一無二と言っていい製品になりそうです。