今さら感満点??メインマシンのCPUをCore i7-4930Kに換装してみた

著者がメインで利用するデスクトップPCは実は未だにSandy Bridge-EのCore i7-3930K搭載機でした。

一応、6コア12スレッド対応のCPUですが、定格クロックは3.3GHz。ブースト時最大3.8GHz動作と、定格でも4GHz越えが当たり前のようになっている最新のCPU達とはもう完全に「時代が違う」感のあるものになっています。

ですが、実際の作業上はこのスペックでも十分に事足りているのですよね。デジカメ画像のRAWデータからの現像処理や、時々そこそこ高解像度の動画のエンコードなどもやったりしますが、特に不満のない性能を発揮してくれていました。

ですが今回はちょっと思い立って、最低限の費用でアップグレードができるIvy Bridge-E世代のCPU、Core i7-4930KにCPUを換装してみました。

そのあたりのもろもろを簡単にレポートしてみます。

理由のひとつ

Core i7-4930KにCPUを換装してみよう、と思い立ったのは、別件でM.2接続でNVMeタイプのSSDを扱う機会があったからです。

チップセットの制限で接続がPCIe2.0 x4に限定されていて、SSD本来の性能が出切っていない状況を見ました。そういえば最新のSSDはPCIe3.0接続が前提で作られているので、SSD本体だけじゃなくて接続環境にも性能が左右されるのだよなぁ、という当たり前の事実を改めて認識したからです。

そして自分のマシンを振り返ってみたら、そういやCore i7-3930KってPCIe3.0サポートしてないわ、と思い当たった次第。PCIe接続のプレクスターM8SeYを使っているんですが、最大転送速度がカタログスペックに到達していなかったな、と。

あと、Core i7-4930Kの情報を調べていくと、IPCはあまり改善していませんが消費電力が結構落ちるらしいことにも魅力を感じました。

余裕分をクロックに回して、常時最大4GHz駆動が実用になるかなと。こちらは完全な趣味の領域ですけどね。

下準備

まずはマザーボードのUEFIのバージョンを上げました。

使っているマザーボードはASUSのP9X79無印ですが、登場時はCore i7-3930K時代。その後のアップデートでCore i7-4930Kなどを認識するようになっていますので。

正式版で最新となるリビジョン4701を導入しています。

中古のCore i7-4930Kを購入

未だにリテール版で新品のこのCPUが買える、と言うのにも驚きましたが、新品はそれなりに高価なのと、リテール版でもヒートシンクが付属しないこの製品でリテール版を選ぶ意味をあまり感じません。ので、今回はバルクの中古品を1万3千円で入手しました。

オークションサイトにはもう少し安いモノも出品されているのですが、動作保証や初期不良交換などの面でやっぱりオークションには不安がつきまといますので今回は回避しました。

掃除&取り付け

Core i7-4930Kを取り付けるには、まずは今組んであるCPUのヒートシンクを外してCore i7-3930Kの方を取り外します。

消費電力・発熱が大きなCPUを使っていますので、CPUヒートシンクには大型でデュアルファンのモノを使っています。あまり高価な製品ではありませんが、Core i7-3930Kを全負荷状態で動かしても70度程度を保てる結構な優れものです。

で、ファンを取り外してみて驚いたのですが、ヒートシンクのラジエーターの金属フィンに結構ホコリがたかっていました。これ、かなりエアフロー悪くなって冷却能力落ちてたよなぁ、と、今頃認識。時々ここも掃除しないと、と思いました。

また、ヒートシンクをCPUから外してみると、熱インタフェースになるシリコングリスが結構劣化していました。完全に干からびてはいませんが、色も変色しています。

今回バラしてメンテできて良かったのだと思います。

新しいCPUへの換装は簡単ですが、マザーボード側のCPUを接続するピンが極めて脆弱でデリケートですので、CPUをソケットの上に落とさないよう注意は必要です。CPU薄いのでうっかり指を滑らせるリスクがありますので。

あとはCPUのヒートスプレッダに適量の新しいシリコングリスを塗って、バラすのと逆順でヒートシンクを組み上げていくだけでOKです。

ちなみにシリコングリスは適当なお値段でそこそこの熱伝達率(8.5W/mK)を持つ、ワイドワークの製品を使っています。柔らかく塗りやすいので気に入っています。

ワイドワーク ワイドワーク シルバーグリス 熱伝導率8.5W/m・K WW-ST-801

一発起動

Core i7-4930Kの再起動は一発でOK。
残念ながら(?)何もトラブルはありませんでした。

変な物言いですが、実際には何かトラブルがあった方が経験値はたまるのです。何も起きないと人間、勉強するきっかけを失います。パソコンも同じでソフトでもハードでも何かトラブルにぶつかって、それを自己解決できるよう頑張るとその分、スキルが上がります。

起動後はインテルのPower Gadgetを起動して動作クロック、消費電力、コア温度をモニターしながらCPUに負荷をかけてみます。

CPUの温度を上げることでシリコングリスがヒートスプレッダとヒートシンクの接触面で馴染むからです。

ベンチマークと消費電力・発熱

落ち着いたかな、と言うあたりで定番のCPUベンチマーク、CINEBENCHを回してみました。結果、定格動作で2013ポイント。Core i7-3930Kが定格動作で1815ポイントだったので10%以上性能が上がっています

Core i7-4930Kは定格設定だと全コアブースト時のクロックの上限は3.6GHz。Core i7-3930Kのほうは3.5GHzです。クロックは3%程度の上昇ですが、その分以上の性能アップがあるようですね。最低5%程度はIPCが良くなっているようです。

UEFIの設定を変えて全コア4GHz動作を許すとスコアは2215まで伸びました。

このときの消費電力は137Wぐらい。Core i7-3930Kを全コア3.8GHzで動かしたときには、150W近くまで消費電力が上がっていたと思いますので、電力効率はかなり良くなっていますね。32nm世代から22nm世代へのチェンジは伊達じゃなかったようです。

通常の負荷の領域での消費電力はかなり抑えめです。4GHz動作状態でも、MMORPGのラグナロクオンラインプレイ時に、消費電力は20Wほど減っている感じです。

消費電力減も反映して発熱の方もかなり穏やかになっています。

室温が23度程度と低めの環境の中ですが、全コア4GHz動作でCPU負荷がほぼ100%になる状態にしても、コア温度は60度前後で落ち着いています。

これなら真夏に室温が30度を超える状況になっても、4GHz動作を常用できそうです。

肝心のSSDの性能は

Core i7-3930K時代、うちで使っているプレクスターM8SeYの最大転送速度は1.6GB/s程度で頭打ちになっていました。

これはインタフェースがPCIe2.0 x4で、こちらがネックになっています。

これがCPU交換でこうなりました。

ほぼ完全にSSDのカタログスペックを出し切る数値を叩き出しています。

十分以上と言える結果ですね。

CPU自体の性能もそうですが、メインメモリの性能、汎用インタフェースであるPCIeの性能はコンピュータの足回りを支える重要な要素です。ここの底上げが出来ると地味にパソコンなどの性能を上げることが出来ます。

今回は改めてその大切さを実感しました。