マイニングバブル崩壊(?)で安くなったRadeon RX570でいろいろ試す

仮想通貨が高騰していた時期、一部のビデオカードが店頭から姿をほぼ消しました。一見何の関係もなさそうなこの2つですが、実は不思議なつながりがありました。

今は仮想通貨の価格が大きく下げたためこの関係が一時的なものかもしれませんがほぼ完全に崩れ、そこでどこかに行っていたビデオカードが中古市場に大量に出回るようになっています。しかも安価に。

今回はそんな中古製品、というよりはほぼ新品同様のRadeon RX570を1つ入手できました。これを使って手元のパソコンのビデオ周りをアップグレード、いろいろと遊んでみました。

仮想通貨とビデオカードの関係

なぜ仮想通貨が高騰するとビデオカードが市場から消えるのか、その関係を最初にちょっと触れておきます。

仮想通貨は膨大な計算量を費やして新たに生み出すことが出来ます。その作業を「採掘」「マイニング」などと呼びます。

マイニングの作業では比較的単純な計算を膨大な回数繰り返します。こういった用途では高性能なCPUを使うよりもビデオカードの演算ユニットのような、性能の低いシンプルなコアを大量にもっている機材の方が効率よく処理を行えます。

ビデオカードの演算ユニットなら、そこそこの消費電力で膨大な計算を並列して大量に実行可能です。

今のGPUだとNVIDIAの一般向けのチップはかなり3D描画に特化した作りになっています。これに対してAMDのRadeonは描画と汎用演算の両方を考慮した折衷案的な作りです。

このため消費電力あたりの描画性能はGeForceシリーズのほうがかなり上になっています。

ただ、仮想通貨のマイニングのような汎用演算を使う処理では、Radeonシリーズの方が電力効率が良かったのでしょう。仮想通貨の価格のピーク時にはRadeon RX470~RX580あたりのビデオカードが市場からほぼ消えました。

さらにスーパーコンピューターで使われるGPUのように、「映像出力端子を持たないビデオカード」まで作られて販売されるぐらいにまでなっていました。

マイニングの作業ではコンピュータシステムの消費電力と仮想通貨の相場のバランスが重要です。今は相場の方が低迷気味なので、仮想通貨の採掘自体が成立しなくなってしまったようです。

あまり良くないお話で話題になってしまったCoinhiveも運営を停止したことがちょっとしたニュースになったぐらいです。

このため仮想通貨マイニング用に大量購入されたビデオカードが一斉に中古市場に流れているのです。

現時点でもビデオカードのミドルレンジのど真ん中あたりの性能と機能を持つRadeon RX570が1万円前後で入手できますので、非常にお買い得と言える状況が生まれています。

手に入れたのはMSIのArmorシリーズ4GBモデル

著者が入手したのはMSIのビデオカードの中ではゲーミングブランドの通常モデルになるでしょうか。Armorシリーズのもので通常は若干オーバークロックでの駆動となるモデルです。VRAMは4GBのもの。

クーリングシステムはMSI独自の高効率ファンを2つ備えたよく冷えて静かなモデルです。

VRAMが4GBのため、最新の重量級ゲームやVR用途には少々厳しいかもしれませんが、世の95%のゲームは全く問題なくプレイ可能だと思います。

Amazonのマーケットプレイスで1万円+消費税で入手できました。

運が良かったのかマーケットプレイスの商品説明に書いてあったとおり、ビデオカード自体の使用感がほとんどないキレイな品物が届きました。マイニングをするユーザーがトラブル時のバックアップ用にストックしていた機材かもしれません。

新しいRadeonといえばFluid Motion

普通新しいビデオカードを導入したらまずは3D性能の測定、といった流れになるケースが多いのではないでしょうか。

ですが、著者がもっとも期待していたのはRadeonシリーズの独自機能「Fluid Motion」です。

これは毎秒24コマや30コマの動画をRadeonがGPU側で自動補間処理を行なって、非常に滑らかで高画質な毎秒60コマの動画にフレームレートをアップコンバートしてくれる機能です。

対応環境が出来上がればどの動画も自動的に滑らかな動きの動画に変換しつつ再生されます。

無償でも環境を簡単に作ることができて、「Bluesky Frame Rate Converter」を導入。あとは「Media Player Classic」で簡単な設定を行って動画を再生するだけでOKです。

こんな形でエンコードされている動画が、

再生時にはきちんと毎秒60コマの滑らか動画になって再生されます。

効果は特にアニメで分りやすく、パーンするシーン、エンドロールの字幕のスクロールの滑らかさは初見ですぐに違いが分ると思います。いわゆる「ヌルヌル」動く、と言う状態になります。

動きが速く大きいシーンでも破綻は全くと言っていいほどありません。

キーフレームの多いCGを使って動かしているシーンなどでは、感動ものの滑らかな動きが実現されます。

動画のハードウェアエンコーダー

Radeon RX570ではGPUに内蔵されている動画のハードウェアエンコーダーも進化しています。従来のAVC(H.264)に加えてHEVC(H.265)が使えるようになりました。

ビットレートを抑えても画質の高い動画キャプチャが出来るようになっています。もちろんCPU側にはほとんど負荷をかけません。

RadeonのソフトウェアのReLive機能を使えばビットレートとコーデックを指定した動画キャプチャが行えます。

動作が微妙に不可解な部分もあるのですが、Windows 10のGameDVRもきちんとRadeon側のハードウェアエンコーダーを使って動画キャプチャを行えるようです。

ただ、こちらでは直接動画のコーデックとビットレートを指定は出来ないようで、H.264形式で結構ビットレートを高くする設定でのキャプチャが行なわれます。

データ量を贅沢に使うこともあってこちらも高画質です。

3D性能は軽いゲームなら十分以上

ビデオカード交換後に軽い3Dもののゲームの一つであるドラクエXのベンチマークを実行してみましたが、当然のごとくベンチマークの数値はほぼ飽和状態でした。

非常に高い数値を叩き出しますが、前まで使っていたRADEON HD7970と数値はほとんど一緒です。

その代わり動作時の消費電力は世代がだいぶ進んだ分、大きく改善しているはずです。低負荷状態でも10W程度は低い数字を示します

その分発熱も少ないはずですからブロアータイプではないファンのビデオカードでも、さほどケース内のエアフローを頑張らなくても大丈夫ではないかと思います。

DirectX12の映像も見てみたくて、一応3DMarkのTimeSpyも走らせてみました。スコア的には4,000弱で、今風の「ゲーミングラップトップ」クラスとのことです。

この辺は想定内ですね。

HDRは常用は難しい

著者は先日ディスプレイも入れ替えていて、HDR対応の4K 31.5型モデルにしています。Radeon RX570はHDR映像出力にも対応していますし、Windows 10側もこの機能に対応しました。

せっかく環境が整ったのだから試さないのは損、ということでHDR動画の再生にもチャレンジしてみます。お手軽なところでYouTubeの4K HDR動画を再生させてみました。

部屋を暗くして見ると使った動画は4K解像度のものと言うこともあり、ちょっと感動するぐらいの美しさがあります。まあ、とびっきり出来のデモ映像ですから当たり前と言えば当たり前かも。

明るい環境の中で同じ動画を見ると、少しメリハリが感じられにくい雰囲気になりました。

色自体はダークトーンの部分でもすごく良く載っている感じで、映像コンテンツを楽しむにはいい感じのモードです。

ただ、HDR非対応の一般アプリが暗く眠たいトーン表現になってしまうため、HDRモードの常用はちょっと難しそうです。対応コンテンツを楽しむときのみ切り替えが良さそう。

お得にアップグレード

Radeon RX570の中古市場での価格1万円前後は、新製品だとローエンドのビデオカードの価格帯です。そういった製品群とは確実に一線を画する性能が同じ予算で入手できます。

GPUチップの世代も1世代前ぐらいでほぼ現役クラス。

動画をたくさん見るユーザーならば、Radeonの独自機能Fluid Motionは非常に魅力的に見えるのではないかと思います。

中古市場にたくさん品物が出回っているうちにお手頃な「1万円アップデート」にトライするのも十分にアリだと思います。