高速インタフェースはすべてPCI-Eになる?SDカードも超高速規格策定
かつて多くの拡張スロットのインタフェースは基本「パラレル」型と呼ばれるものが使われていました。ザックリとまとめると信号を伝える線が複数あって、それを同時に動かすことである程度の通信速度を確保しようという仕組みでした。
この仕組みの弱点は複数ある信号線それぞれのタイミングをピッタリ合わせることです。必要な通信の速度が上がるに従ってやりとりする信号の周波数がどんどん高くなると、複数のデータを送受信する線同士のタイミングを合わせるのが極めて難しくなります。
このため拡張スロットの仕組みにも「シリアル」通信の方式が使われるようになりました。同じようにハードディスクなどのデータのやりとりも以前のパラレルATAからシリアルATAに進化しています。
そして今ではパソコン周辺の拡張スロットの仕組みはすべてシリアル通信を使うPCI-Expressという規格になっています。
この規格は非常に汎用性が高く優れたもので、拡張スロットの接続をケーブルで引き出してパソコン本体外部に周辺機器を接続したりすることも出来るようになっています。
また汎用性の観点では、リムーバブルタイプのフラッシュメモリのメディア、SDカードなどでもこの規格を使う動きが出ています。しかもSDカードのみならず、高速タイプのフラッシュメモリカードはどうやらすべてこの方式を使う規格に統一されていきそうです。
今回はSDカードの形の中で超高速な転送速度を実現するSD Expressと、インタフェースの点で先行していたXQDカードの後継、CFexpress2.0の規格についてまとめます。
最大958MB/secを実現するSD Express
SD ExpressはSDカードの規格をまとめる団体、SD Associationが新たにとりまとめたものです。
PCI-Expressのバージョン3.0と超高速SSDで注目されるNVMeのバージョン1.3を使った規格になります。
端子の形状は現行のSDカードのUHS-IIと同じものですが、最大985MB/secもの超高速なデータの転送速度を実現できる規格になります。
パソコンのハードディスク接続用のインタフェースのSATA3が転送速度600MB/secまでの規格ですから、リムーバブルなメディアでこれを1.5倍以上上回る性能を持つことになります。
ここまで来るとメモリカードと言うよりはモバイルSSD、とでも言った方が良いレベルの性能ですね。
インタフェース上の転送速度を使い切るカードはなかなか出てこないでしょうがここまで転送速度が速くなると、デジタルカメラならカメラ側のバッファメモリを削減しても連写性能が維持できるようになる可能性も出てくるでしょう。
カメラの性能や機能を再定義する規格になる可能性もありそうです。
また、現在のSDXC規格ではメモリカードの容量の上限は2TBです。先日1TBの容量を持つSDカードが登場していますから、そろそろ規格の上限が見えてきてしまっています。
このためさらに上の容量を実現可能な「SDUC」も規格化されました。こちらの規格だとカードの最大容量は128TBになります。
CFexpress2.0は最大4GB/sec
CFカードやXQDカードなどの規格を取り仕切ってきたCompact Flash Associationでは、CFexpress2.0の規格の発表を行ないました。
こちらの規格では最大4つのPCI-Expressのレーンを束ねて、最高4GB/secの転送速度を実現します。現時点でのパソコン用のNVMeタイプのSSDの上限に迫る性能を持てるようになります。
また、Type-AからCの三つのカードのフォームファクタを規定していて、Type-AのカードはSDカードよりも一回り小さなサイズと最大1GB/secの転送速度を実現するカードになります。
Type-Bは現状のXQDカードと同じサイズで転送速度は最大2GB/sec。Type-CのカードはCFカードの倍ぐらいの大きなサイズで、最大4GB/secの転送速度が使えます。
こちらも情報のやりとりで使う規格はPCI-Expressのバージョン3.0とNVMeの1.3。
SD Expressとカードのカタチが違うだけ、のような関係になりそうです。
インタフェース自体が高速化したとしても、実際に性能の良いメディアを実現するための問題は高速な読み書きを実現するためのフラッシュメモリ側の実装です。
このためどちらのカードも本当に高速なカードはかなり高価な製品になる可能性は高いでしょう。まずはハイエンド製品、プロ向け製品での採用になると思われます。