パソコンディスプレイにもいよいよ有機ELが
今年のCESの会場でまずはHPがSpectre 15 x360に有機ELディスプレイを搭載したモデルを追加することを発表しました。
これに追従するような形でDELLも15型ゲーミングノートPCのディスプレイに有機ELを搭載した製品の開発を行なうことを宣言しました。さらにDELLは大型ゲーミングディスプレイにも有機ELパネルを採用した製品を投入する宣言をしています。
スマートフォンの世界ではかなり大きな勢力となりつつある有機ELディスプレイ、いよいよパソコンの世界にも本格的に進出して来る年になりそうです。
Spectre 15 x360
HPの方は同社の高級ノートPCラインであるSpectreシリーズの15型ディスプレイモデルで、有機ELパネル搭載モデルを製品化します。
使われるパネルはスマートフォンや大画面テレビなどと同じ「AMOLED」と呼ばれるタイプ。これは「Active Matrix Organic Light Emitting Diode」を略したものです。
現在主流となっている液晶のような「アクティブマトリクス」と言われる駆動方式をとる有機ELパネルになります。
特徴は画素の点灯や消灯、色の変化などの指令に対するレスポンスが非常に良いこと。また、液晶とは違い自分で光を出すデバイスですので、OFFにすると本当に真っ黒になりコントラスト比がとても高く取れることです。
コントラストと色の再現性がとても高くなります。
実際に有機ELパネルを採用するSpectre 15 x360も非常に広い色域を持つ製品になることが明らかにされています。
映像のプロ向けの色空間規格であるDCI-P3を100%カバー。さらにsRGBよりも33%も広い色域の表現が出来ます。コントラスト比はなんと10万:1。ダイナミックコントラストを使う液晶よりも数段上のレベルを実現しています。もちろんHDR対応のディスプレイになります。
ただ、現時点で分っているのはここまで。ディスプレイの解像度なども不明です。また、パソコン本体側のスペックも明らかにされていません。
HPからの詳細な発表が待たれます。
映像制作のプロや、映像を美しい表現で鑑賞したいユーザーにはうれしい機種になるかもしれませんね。
DELLはAlienwareシリーズで
HPのSpectre 15 x360はどちらかというと一般ユーザー向けからモバイルワークステーション的な位置づけで、ゲームで使うことはあまり考慮されていない製品です。
有機ELディスプレイの表示能力のうち色再現とコントラスト表現能力の高さを活かす形になると思います。
これに対してDELLのアプローチはちょっと違うようで、主に有機ELディスプレイパネルのレスポンスの良さを活かす使い方をするようです。
有機ELディスプレイは極めてレスポンスが良いので液晶のような残像が全く出ません。これはシビアなゲームには最適な動作と言えます。
また最近の一部のゲームはHDR表現への対応を始めています。恐らくAlienwareシリーズでも有機ELディスプレイ搭載機ではHDR対応のスペックを持たせてくるのではないかと思います。
これにより液晶パネルでは再現が難しい高いゲーム画面の画質も合わせて狙っているのでしょう。
画面のリフレッシュ速度、フレームレートも有機ELディスプレイなら無理なく上げられますから、ギリギリのタイミングの必要なゲームプレイにも有効に働くことになるでしょう。
DELLが計画しているゲーミングディスプレイは55型のOLEDパネルを使うもので、4k解像度で120Hzのリフレッシュレートを持つ製品になるようです。
こちらは個人でのゲームプレイにはちょっと巨大すぎますが、販売されれば使い方次第ではいろいろなことに化けそうな製品になる気がします。
この動きがさらに広がるかどうか、注目のジャンルになるかもしれません。