7nmプロセスで製造される新Radeon、「Radeon VII」登場へ
AMDはCPUもGPUも今年中に一気に7nmプロセス世代の製品に移行させるつもりのようです。CESの基調講演で新GPUのRadeon VIIを公表しました。
既存のRadeon RXxxxとかRadeon RX Vega 64といった製品名とは全く異なるネーミングルールが新たに設けられた製品名になるようです。これがシリーズ名なのか製品名そのものなのかはよく分りませんが、モデルナンバー的なものが後ろにつきそうな気もします。
今回はAMDが第二世代のVegaアーキテクチャと呼ぶRadeonシリーズの新ハイエンド、Radeon VIIを取り上げます。
大規模ながらダイサイズは縮小
Radeon VIIにはSP数にして3,840個の演算ユニットが搭載されています。
これは前世代のRadeonのハイエンドRadeon RX Vega 64のSP数4,096よりもやや数を減らした構成になっています。
その代わり動作クロックは大きく向上。ブースト時には最大1.8GHz動作を実現しています。
処理効率のアップも図られたと思われ、ゲームの描画性能では前世代の8割増しの性能を実現したとしています。
メモリには16GBと大容量のHBM2を搭載。コンシューマ向けはGDDR6を使うことにしたNVIDIAとは正反対のアプローチを取りました。
価格面では飛び抜けたプライスタグを掲げる訳ではなさそうですので、HBM2の実装技術で何らかのブレイクスルーがあったのかもしれません。あと気になるのは生産量ですね。同じくHBMを使った前世代のハイエンドRadeon RX Vega 64はほとんど市場に出回りませんでしたから。
Radeon RX Vega 64とほぼ同等の演算ユニットを実装しながらRadeon VIIはダイサイズがかなり小さくなっているところも特徴です。Radeon RX Vega 64の495平方mmの巨大さに比べ、331平方mmまでサイズを縮小できています。
この点では7nmの製造プロセスを有効に活用していると言えます。
性能はGeForce RTX 2080相当?
AMDのアナウンスではRadeon VIIのゲームでの性能はNVIDIAのGeForce RTX 2080に匹敵する、ということになっています。
まだ公表されている情報がわずかしかありませんが、比較に使われたタイトルでは同等または凌駕するだけのフレームレートが計測されているようです。
ただ、まだ3DMarkなどメジャーどころのベンチマークの結果が示されていませんので、実際の性能の傾向などは完全に見えている訳ではありません。
このあたりの性能比較に関してはどのメーカーもややオーバー目に見える素材を選んでプレゼンに使うことが往々にしてありますので、実際の性能のほどは製品の出荷を待つしかないでしょう。
ただ、発表を信じれば性能面で完全にNVIDIAの独走を許すことはなさそうな雰囲気はあります。
Radeon派にはうれしいニュースになるかもしれません。
ただ、GeForce RTX 2080は3Dの演算ユニットは2,944基であの性能を達成しています。3Dグラフィクスの処理効率の面ではまだNVIDIA GPUに一日の長があると言えそうです。
さらに絶対性能の点ではNVIDIA側にはまだ上位のGeForce RTX 2080Tiがあります。そのあたりの対応をAMDがどうするかも注目点になりそうです。
価格はGeForce RTX 2080同等の699ドル
Radeon VIIは性能面で同等としているGeForce RTX 2080と同じ価格の699ドルで発売されることになりそうです。
大容量のHBM2を搭載しつつこの価格を実現できたことにはちょっと驚きがあります。
実際に同レベルの性能が実現可能だとすると、ハイエンドゲーマーの選択肢の一つに上がってくる可能性もありそうです。
あとはここまでに明らかにされていない消費電力がどうなっているかと、GeForce RTXシリーズが実現したリアルタイムレイトレーシングをどう考えるかでRadeon VIIの「お買い得度」が変わってくることになりそうです。