Windows 10でより本格的にソフト開発者をサポートか。関連機能の強化続く

今Windows 10のプレビュー版で特に目立った開発が行なわれ続けているのが、コマンドライン関連機能の強化です。

WSLで利用可能なLinuxのディストリビューションは正規版の方でも少しずつ充実してきていますが、これに加えWSLの標準コンソールなどにさまざまな改良が加えられています。

今やWSLはパソコン上で本格的なLinuxサーバ機能を動作させるのが一番簡単な仕組みの一つになっていますが、WSL周辺の機能の強化を続けることでソフトウェア開発者をWindowsに取り込もうというマイクロソフトの意図があるのかもしれません。

地味に強化され続けるメモ帳

Windowsに標準搭載されている非常にシンプルなテキストエディタのメモ帳は、しばらく開発が放棄されていたような印象がありました。実装当初のシンプルな機能のまま新しい機能がほとんど追加されることがない状況が続いていました。

それがここに来てなぜか(?)大きいものではないものの、少しずつ新しい機能が追加されるようになっています。

一つは少し前に実装されたWindows以外の改行コードへの対応です。MacやLinux形式の改行コードに対応できるようになっています。

続いて最新のプレビュー版では本格的にUTF-8の文字コードへの対応が行なわれるようになりました。

多くの環境、Webで標準的に使われているバイトオーダーマーク(BOM)のつかないUTF-8の文字コードに対応するようになったのです。

これによりメモ帳がかなり本格的なマルチコード対応エディタになっています。

まだまだエディタとしての機能は小さく、本格的な編集作業を行なうならメモ帳以外のより高機能なテキストエディタを導入した方が良いのは間違いありません。

ですがWindows標準搭載のエディタでそれなりのことが出来ることに意味があります。自由にソフトウェアを後から追加できない環境もまだたくさん残っているからです。Windows標準の機能だけで多くのことが出来ることにも結構大きな意味があります。

VT端末エミュレート機能の実験も開始

Windows 10のインサイダープレビュー版ではコンソールに実験的な機能が組み込まれています。

Linuxで文字のコマンドなどでOSの操作を行なうコンソールなどには、「VT100端末」といった昔使われていたUNIXサーバなどに接続する物理的な端末装置の画面制御機能をエミュレートする機能が搭載されています。

こういった機能はWSLのコンソールには実装されていませんでした。このためLinuxのコマンドの一部が使う画面制御が上手く動かないケースもあります。

最新のプレビュー版ではWSLのコンソールにVT~端末のエミュレート機能が追加され、Linuxなどのコンソールに非常に近い使い勝手が実現されています。

まだまだテスト中のため完全な動作は望めませんが、デバッグが進めばより普通のLinuxに近い使い勝手が実現されそうです。

WSLの充実

冒頭でも書きましたが、Windows 10の中でほぼ完全なLinuxを動作させられるWSLでは対応ディストリビューションがかなり数を増やしています。

本格的な商用利用を想定したLinuxディストリビューションであるRed Hat Enterprise Linux(RHEL)と互換性のある、「WLinux Enterprise」が使えるようになっています。

こちらはその他のWSLとは異なり有償パッケージとなっていて標準価格は結構いいお値段です。

また、Fedoraプロジェクトなどのお墨付きはでていないようですが、FedoraベースのディストリビューションであるFedora Remix for WSLも利用可能になっています。

基本部分は同じLinuxですが、ディストリビューションごとに細かな設定などの作法が微妙に異なっています。そういった部分の慣れなどの関係からどうしてもこのディストリビューションじゃないと、という人もいるでしょう。

そういったユーザーにはうれしい対応だと思います。

ちなみにFedora Remix for WSLも有償です。2019年1月いっぱいは半額で導入可能です。