今度こそ本物のPC向けSnapdragon。「8cx」登場へ

クアルコムの公式blogのSnapdragon 8cx関連エントリ

クアルコムのスマートフォン向けSoCであるSnapdragonシリーズ、このArmアーキテクチャCPUを搭載したチップを使ったPCでもWindows 10が動作するようになったことが一度大きな話題となりました。

しかし実際に搭載製品が発表されはしたものの市場に製品が並ぶことはほとんどなく、実際に手にしたユーザーもごく一部に限られていたようです。

これは最初のWoSデバイスで使われたSoCが、どうしてもエミュレーションが絡むアプリを動かすには非力だったと言うことも影響していたようです。

そういった点を改善するためにパワーアップしたSnapdragonも生産されはしましたが、そちらを使う製品が登場することもほぼありませんでした。

クアルコムはこの状況を打開することを目指し、遂に真のPC向けSnapdragonと呼べる「Snapdragon 8cx」が登場する運びになりました。

基本はSnapdragon 855だが

クアルコムが発表したPC向け、というよりはWindows 10向けのSoC、Snapdragon 8cxは、CPUコア、GPUコアなどの基本コンポーネントはスマートフォン向けのSnapdragon 855のものを引き継ぎます。

ですがどちらもかなりの強化が行なわれています。

CPUコアはArmのbig.LITTLE思想を採用した高性能の4コア+高効率の4コア構成のオクタコアとなっていますが、Snapdragon 855とは異なり高性能4コアがすべてフルスピードで動作する設定になっています。

GPUはブランド名こそSnapdragon 855と同じになっているものの、内部の演算ユニットを増強しているとのことです。もしかするとSnapdragon 855のほうが一部の演算ユニットを無効化することでスマホ向けのTDPに抑える構成なのかもしれません。

さらに、もしかすると最も性能面に大きな力を発揮するかもしれないのが、メモリアクセス幅がスマホ向けのSnapdragonから倍増されていることです。128bitアクセスが可能になりメモリ帯域がSnapdragon 855の倍になっています。

また、従来のSnapdragonシリーズではストレージのインタフェースがUFS3までの対応になっていましたが、Snapdragon 8cxでは遂にPCI Expressのインタフェースを持つようになり超高速SSDのNVMe対応製品の利用が可能になりました。

こういった部分でPCのいわゆる「足回り」が強化されることにより、Windows 10搭載機の実使用感が向上することが期待できます。

また周辺機器との接続ではUSB 3.1 Gen2のコントローラが強化されていて、UBS経由でたくさんの周辺機器を接続する、パソコン的な使い方がよりやりやすくなっています。

インテルアーキテクチャCPUに匹敵する性能?

これらの強化によってSnapdragon 8cxはインテルアーキテクチャのCPU、インテルのCoreプロセッサやAMDのRyzenシリーズに匹敵する性能を実現するとしています。

実際にはその設定の製品は存在しませんが、Snapdragon 8cxをTDP 15Wの枠で動作させればCoreプロセッサに並ぶ性能を出し、TDP 7Wの枠であればCoreプロセッサの倍の性能を出す、とのうたい文句です。

これが事実ならば、メモリアクセス、ストレージインタフェースの強化ともあわせ、WoSデバイスもより高い実用性を備えることになりそうです。

ソフトウェア側のArmネイティブ化も少しずつ進む

Snapdragon版Windows 10の特にアプリの実用性が高くならないのは、どちらかと言えばSoCの性能よりもほとんどのアプリがWin32版のままで動作にはエミュレーションが必要になることが原因です。

アプリの実用性を上げるための根本的な解決策は、アプリ自体をリコンパイルしてArmネイティブなソフトウェアに書き換えることです。

そういった動きも少しずつですが出始めていて、ブラウザのfirefoxがArmネイティブなWindows版ブラウザの開発を表明しています。またChromeなどで使われているHTMLエンジンのChromiumもArmネイティブ版が既に公開済みです。

最もニーズが高いと思われるマイクロソフト自身のオフィスシリーズに関するニュースがあまりないのが気になりますが、この部分がなんとかなるとWoSデバイスの本当のリスタートになるように思います。