マイクロンからも格安SSD登場。QLC採用のCrucial P1
インテルがQLCフラッシュメモリを使ってとてもお手頃価格のSSD、660pシリーズを投入して多くのユーザーを驚かせましたが、その路線にマイクロンも乗るようです。
もしかするとインテルのものよりさらにお手軽な価格を実現しそうな、Crucial P1が市場投入されます。
今後はより一層このタイプのSSDが数を増やし、一般ユーザー向けのパソコンにもSSDが一気に広がるきっかけとなるかもしれません。
500GBで1万4千円のCrucial P1
QLCタイプのフラッシュメモリを使うことでお手軽価格を実現したCrucial P1は、PCI-Express3.0のレーンを4つ束ねる形で接続するNVMeの高速SSDです。
ですが記憶媒体のフラッシュメモリには容量あたりの単価がTLCタイプのメモリよりもさらに安価になる、QLCタイプのフラッシュメモリを使っています。
これにより容量単価が非常に低いSSDが実現されています。
Crucial P1では500GBで1万4千円程度、1TBモデルでも2万8千円程度の価格での販売が予想されています。
QLCタイプのフラッシュメモリは書き込み速度、読み出し速度ともTLCやMLCタイプのメモリよりも劣ります。このため特に十分な書き込み速度を実現するために、搭載するメモリの一部をSLC動作させてキャッシュ的に使う仕組みがCrucial P1でも利用されています。
Crucial P1ではトータルの容量が大きいこともあり、SLCキャッシュとして利用する領域の容量が十分に確保されていて、一般的な使い方の範囲ではSLCキャッシュを使い切ることはまれだと思います。
こういった工夫からQLCフラッシュメモリを使ったお手頃価格のSSDながらCrucial P1はかなり良好な実性能を持っています。
1TBモデルでは最大2,000MB/secのシーケンシャルリード、1,700MB/secのシーケンシャルライト性能を掲げています。システムドライブとして使う際の体感速度に比較的相関性が高いランダムリードは19万IOPS、ランダムライトは24万IOPSとなります。
SSDの寿命の目安となる総書き込みバイト数は500GBモデルで100TBW、1TBモデルでは200TBWで、この部分はチップ自体の寿命が短めなQLCの影響を受けてやや小さめのスペックになっています。
QLCメモリとは
QLCのフラッシュメモリとは、1つのメモリセルに4つのデータを保持できるようにしたタイプの不揮発性メモリです。(QLC=Quad Level Cell)
1つのセルに3つのデータを保持できるTLC、2つのデータを保持するMLCよりもチップあたりの容量を大きく引き上げることができます。QLCタイプのフラッシュメモリではこれによって容量あたりの単価を低く抑えることが可能です。
寿命はその分短くなるのですが、最近のフラッシュメモリは微細化によって容量を稼ぐのではなく、1つのセルの面積を大きく取りチップの積層化による3D的なアプローチで容量を確保しています。
1つのセルが大きくなることでTLCやQLC化による1つのセルの寿命の短さをある程度カバーしています。
ですので一般的な使い方の範囲では、かつてMLCタイプのフラッシュメモリの寿命が気にされたのと同じようなお話で、TLCやQLCタイプのフラッシュメモリのセルの寿命が問題になることもまずないでしょう。
NVMeタイプのSSDの普及加速なるか
今ではM.2のフォームファクタでNVMe対応のSSDが使いやすい環境が揃ってきているはずなのですが、メーカーが思うほどにはNVMeタイプのSSDの普及は進んでいないようです。
これには価格面で高性能なNVMeタイプのSSDのほうが割高な印象があったというのが理由の一つかもしれません。
その点ではここに来てインテル、マイクロンから割安なNVMe SSDの登場で少し構図が変わってくるかもしれません。Crucial P1は今までNVMeタイプのSSDの利用を見送ってきたユーザーにもチェックしてもらいたい製品です。