WoSデバイスの再ローンチ。Snapdragon 850搭載のレノボYoga C630 WOS
昨年末、ArmアーキテクチャのCPUを搭載しているスマートフォン向けSoC、クアルコムのSnapdragonシリーズでネイティブ動作するWindows 10リリースの発表が大きな話題となりました。
今年春にはSnapdragon 835を搭載したWindows 10搭載の2in1 PCが発売予定となっていましたが、実際には一部のメーカーからわずかな台数が販売されたのに留まっていたようです。
このためWoS(Windows on Snapdragon)デバイスの話題自体がしぼんでしまった印象になってしまいました。
実際にはどうもSnapdragon 835では性能面で十分ではないところがあったらしい、との噂もあります。最低限の実用性は備えていたようではあるのですが、より高い性能が求められていたのかもしれません。
その後クアルコムでは明確にPC用とうたう形で性能を高めたSnapdragon 850を世に出しました。このチップを使ってWoSデバイスの再ローンチを狙ったものと思われます。
そしてこのチップを採用したWindows PCがまずはレノボから発売されることになりそうです。今回はこの新機種、Yoga C630 WOSを取り上げます。
スペック
搭載されるパソコンの心臓部となるSoCはクアルコムのSnapdragon 850です。
このSoCのCPU部はArmアーキテクチャのCPUの中ではかなり高性能なコアを使っていて、高クロック動作可能な4コアと、クロックは控えめとして電力効率に振った4コアの合計8コアを持つものになっています。
統合されるGPUはAdreno 630で、スマートフォン向けの現在のハイエンドSoCであるSnapdragon 845と同じものになります。AndroidOSでは3Dゲームなどもバリバリ動かせる能力を持ったGPUですが、WindowsのDirectXの環境でどの程度の性能が出せるのかはまだ未知数の部分があります。
メインメモリは4GBまたは8GB。ストレージはUFS接続のSSDを128GBまたは256GB搭載します。
Snapdragon 850は元がスマートフォン向けのSoCですから当然のごとくLTEモデムを統合していて、通信インフラさえあれば最大1.2Gbpsのリンクアップ速度を実現できます。ただ、そのインフラ側の条件は5波のCAなどかなりシビアですが。
外部インタフェースとしては2つのType-C形状のUSB3.0コネクタをもち、どちらもUSB PD対応で充電はUSBコネクタから行ないます。
また一つのUSB Type-CコネクタはDisplayPortのオルタネートモード対応となっていて、映像出力端子にもなります。
液晶ディスプレイは13.3型でフルHDのパネルを採用します。
サイズは306.8mm x 216.4mm x 12.5mmとかなり薄型の筐体。重量の方は1.2kgあり、このクラスの製品としては標準的な重さになっています。
お値段はやや高め
今年の春リリース予定となっていたWoSデバイスはインテルCPU内蔵のモバイルノートパソコンよりも安めの価格帯での発売が予定されていました。
これに対しYoga C630 WOSは999ユーロからとインテルCPU搭載の機種と同レベルの価格帯になります。
現在のWindowsを巡る環境ではOS本体がArmアーキテクチャにネイティブ対応していても、アプリケーションソフト側の対応が間に合っていません。このためある程度の部分の動作はエミュレータを介することになり、Snapdragon 850本来の性能はなかなか発揮できません。
この部分はWoSデバイスの足かせになりかねないデメリットです。
Yoga C630 WOSはLTEモデムの内蔵により常時インターネット接続が可能なところや、最大25時間のバッテリー駆動が可能な省電力性能がありますが、そのあたりで上手く差別化が出来るかどうかがWoSデバイス普及のカギになりそうです。