リアルタイムレイトレーシングを実現するGeForce 2000シリーズ登場
NVIDIAが新GPUでかなり思い切ったことを盛り込んできました。もしかしたらパソコンやワークステーションのリアルタイムの3D CG描画に革新をもたらすものになるかもしれません。
光の反射や屈折、影などの状況をリアルに表現するための方法に「レイトレーシング」というアルゴリズムがあります。NVIDIAの新GPU、GeForce 2000シリーズではこのレイトレーシングをリアルタイムで実行する機能を盛り込んできました。
従来のGeForce 1000シリーズから回路規模が大きくなった分の多くをレイトレーシングのための回路に裂いています。
製品展開もかなり思いきったもの
先日発表が行なわれたGeForce 2000シリーズのGPUは、GeForce RTX 2080Ti、GeForce RTX 2080、GeForce RTX 2070の3種類です。
このうちGeForce RTX 2080Tiだけ回路規模が数段大きな規模になっていて、SP数では4,352個もの規模になります。VRAMは11GBでGDDR6を採用しました。
これはプロ向けのQuadro RTX 8000に匹敵する回路規模となります。
ビデオカード製品としてみた場合にはVRAMの容量とバス幅に差がありますが、チップサイズが今の半導体工場の限界に近い巨大さになっていて、このレベルのチップをウルトラハイエンドとは言えコンシューマー向けにリリースできたこと自体が驚きです。
GeForce RTX 2080は2080Tiに比べればまだ控えめなスペックですが、それでも2,944個ものSP数を誇ります。VRAMは8GBを搭載します。
GeForce RTX 2070でも2,304個のSPを持ち8GBのVRAMを搭載。重量級のゲームタイトルにも対応可能な能力を持つと思われます。
肝心のレイトレーシング性能は
レイトレーシングというCGのアルゴリズムでは、簡単に言うと細分化した光の筋の経路が三次元空間に配置されたオブジェクトに対してどう通っていくのか、全画面分追跡することでリアルな3D空間を描写する方法です。
なので、「レイ=光跡」を「トレース=追跡」することからアルゴリズムの名前が付けられています。
3D CGではかなり以前から存在するアルゴリズムでかつ非常にリアルな光の表現が可能になりますので、長く使われ続けている手法です。
その代わり計算を行なう量が極めて膨大になり、従来はリアルタイムの3Dのレンダリングには適用が全く不可能でした。
レイトレーシングの性能を見る際には1秒間に何本の光を追跡できるかを数字で表します。GeForce RTX 2080Tiでは最大10G Rays/sの性能を発揮するとされています。
実際既にGeForce RTXのリアルタイムレイトレーシングの仕組みに対応したゲームタイトルがあり、デモンストレーションでは実際のゲーム画面にレイトレーシングによる映り込みなどのリアルな描写が適用されているシーンが公開されています。
パソコンのリアルタイムのCG表現に革命がもたらされるか?
従来のビデオカードでもさまざまな表現が非常にリアルになり、パソコンのゲームとは思えないレベルの美しい画面が実現されるようになりました。
GeForce RTXシリーズを使えば、ここにさらに極めてリアルな映り込みや光の表現が加わるようになります。パソコンのゲームなど、3DのリアルタイムなCGの表現にまたひとつ革命が起こることになるかもしれません。
また、この性能を突き詰めていけば、レイトレーシングを適用したより高画質な3D CG作成に必要な時間が一気に短縮されるかもしれません。
映画などの映像コンテンツでリアルなCGを使うためのハードルが大幅に引き下げられる未来もあるのかもしれません。
新たなビデオカード潮流として注目したい機能です。
またそれに対しAMDがどんな動きを見せるのかも注目したいところです。