インテル2020年にdGPU市場に「復帰」か?

インテルのdGPU独自開発に関するプレスリリース

インテルは公式ツイッターで2020年にディスクリートGPU(以降dGPU)市場に復帰することを発表しました。

これに先立つ形でインテルは2017年末にAMDのRADEON部門のトップのヘッドハンティングを行なっていて、その後それが非常に大きな話題になりさまざまな憶測も呼んでいました。

その後Kaby Lake-Gのリリースなどもあり、インテルのGPUの扱いが注目を集めて続けています。

そしてどうやらこのヘッドハンティングが本格的に製品としての形になるようです。

「参入」ではなく「再参入」または「復帰」

インテルのGPUというとチップセット統合型やCPU統合型の印象だけが強くて独立GPUのイメージはあまりないと思いますが、パソコンのかなり初期、「AGPバス」が世に出始めた頃に1製品だけ市場に投入しています。

i740というチップがそれなのですが、このチップはどちらかというとAGPバスの方向性をインテル自らが示すためのリファレンスのような扱いで、性能面にも特筆する部分がなく後継チップも作られないままインテルの独立GPUの歴史は一度幕を下ろしています。

ですので2020年に本当にインテルがdGPU製品を投入することが出来れば、20年以上ぶりの独立GPU市場への「再参戦」ということになります。

悪くはない現行のインテルGPU

インテルの統合GPUは性能面の印象があまり良くないと思います。AMDのGPU統合型CPUのグラフィック性能や、独立GPUとの性能比較から「おまけ」的に考えられているイメージもありそうです。

ですが現在Coreプロセッサなどに統合されているインテル製のGPUの性能や実効効率は決して悪いものではありません。

多くのCoreプロセッサに統合されているGPUはAMDのAPUに比べて規模が小さめです。加えてCPUに統合されているGPUはメモリの転送速度の限界から大きく性能面で制約を課せられている形です。

もし今のインテルのアーキテクチャのGPUを独立させてしっかりしたメモリアクセスの足回りを作り込み、規模を大きくすればそこそこの性能のビデオカードになるはずです。

ただ、2020年にリリースされる予定のGPUは、今のインテルの統合GPUとは全く別のマイクロアーキテクチャを取るのではないかと思います。

わざわざRADEON部門のトップをヘッドハンティングしているのですから。

2社寡占のGPU市場に穴が空くか?

簡単なことではないでしょうがインテルの独立GPU市場への再参入で、NVIDIAとAMDの2社のみの独立GPU市場に動きが出ることは期待したいですね。

生物だけではなくパソコンのジャンルなどもやっぱり「多様性」が失われると市場や技術が硬直化して、進化・進歩のスピードが大きく落ち込みます。

パソコン用CPU市場でも、AMDがRyzenシリーズを世に出すことで停滞した空気が一新されて、非常に楽しい状況が生まれました。

そういった動きが独立CPUにも生まれることを期待したいです。

また、わざわざRADEON部門のトップを引き込んだことから、新しいマイクロアーキテクチャで現状のインテルオリジナルGPUよりも優れたGPUが生み出される可能性もあると思います。こちらも簡単な仕事ではないと思いますが。

さらにインテルがKaby Lake-Gで採用したコストを抑えたスタックドメモリの実装方法により、統合GPUやCPU自体の世界も一新される可能性があります。

ここのところの一連のインテルのGPUを巡る動きは、そのあたりまでの将来を見据えた先行投資の一環なのかもしれません。

もっと卑近なところでは、パソコン向けCPU市場の減速で余裕の出来たインテル自前の半導体工場のキャパシティをなんとかしたい、という所もあるのかもしれませんが。