WoSデバイスを脅かす存在に?インテルCPUでも常時接続HPのENVY 12 x2
2017年にWindows on ArmまたはWindows on Snapdragonとして、インテルCPU以外でもフルセットのWindows 10が動作するようになったことが大きな話題となりました。
この際、WoSデバイスの最大のメリットとしてあげられたのがバッテリーでの長時間駆動と、LTE回線を利用した常時インターネット接続です。
このメリットを脅かすかもしれないインテルCPUのパソコンがHPから登場しました。
今回はCoreプロセッサを搭載しつつ常時LTE回線でのインターネット接続をうたうHPの新機種、ENVY 12 x2を取り上げます。
スペック
まずはENVY 12 x2のスペックを見てみましょう。
ENVY 12 x2はSurface Proシリーズのような、タブレット型をベースとしたキーボード分離型の2in1 PCの形を取ります。パソコンの基本コンポーネントは全て液晶画面、タブレット型本体に内蔵されていて、それにカバー型のキーボードがドッキングする形です。
CPUには第7世代のYプロセッサを採用。型番はCore i5-7Y54で2コア4スレッド対応のものです。定格クロックは1.2GHzですが、ブースト時には最大3.2GHzで動作します。
ENVY 12 x2最大の特徴はインテル製のLTEモデムを内蔵したことで、最大450Mbpsの論理通信速度を実現出来ると思われます。
ENVY 12 x2はコネクテッドスタンバイ技術に対応した製品で、スリープ時にもバックグラウンドで通信を行なってアプリの更新などが行えるようになっています。
本体側の厚さは約8.5mm。フットプリントは約293mm x 209mm。ほぼA4用紙サイズですね。重量は778gで、液晶サイズを考えると持った際にはすごく軽く感じるレベルの重量だと思います。
キーボードカバーを付けた状態では厚みは約15.5mm、重さは約1,240gになります。このクラスの2in1 PCとしては標準的な重さです。
インタフェースはType-C形状のUSB3.0コネクタが2つ、IEEE802.11ac対応の無線LANアダプタを内蔵。Bluetoothはバージョン4.2までに対応します。フロントカメラは約500万画素でIRセンサーなどを備えWindows Helloの顔認証に対応しています。リアカメラは約1,300万画素のセンサーを搭載しています。
そのほかにLTE通信のためのnanoSIMカードスロット、SDXC対応のマイクロSDカードスロットを備えています。
またバッテリーは3セルのリチウムイオンバッテリーながら、約17時間の長時間駆動を実現していることもトピックでしょう。
液晶は12.3型で1,920 x 1,280ドットのものを搭載。アスペクト比は2:3で、もちろんタッチ対応。筆圧検知可能なスタイラスペンにも対応しています。
メインメモリは8GB、内蔵ストレージはNVMeの256GBのSSDを搭載していて、こちらも実用性は十分です。
WoSデバイスでなくてもできる?
WoSデバイスの最大のメリットがLTE回線を使った常時インターネット接続と、スリープ状態での非常に長いバッテリーの持ちでした。
ENVY 12 x2では常時接続状態のスリープでどの程度バッテリーが持つかはまだ分かりませんが、少なくとも常時インターネット接続が可能、というところはWoSデバイスでなくても実現出来るということを示してくれています。
既存アプリなどへの対応、Windows 10を利用する場合の実性能の面では、まだまだインテルCPU搭載機に分があります。そういったことまで考えると、ある意味、ENVY 12 x2はWoSデバイスの存在意義すら問うような一台になるのかもしれません。
これによってどちらかが淘汰されるとかではなく、それぞれが競い合う形でより良い技術が生まれてくるのが理想です。ですがWoSデバイス側はまだ大きな流れにはなっていませんから、今後の行方は見守った方が良さそうです。