スマホって本当に省電力?

先日、家族で札幌まである美術館の特別展を鑑賞に行ってきました。

その往復の電車の中、時間つぶしにスマートフォンでスマホ版の艦これを遊んでいたのですが、良く聞くお話の通りスマホゲームでのバッテリーの消費具合の激しさにちょっと驚きました。

2時間ほどのプレイでフル充電してあったバッテリーを半分以下まで使ってしまったのです。

そこからちょっと疑問が生まれました。「スマートフォンって本当に省電力なデバイスなのか?」と。

今回はこのあたりをちょっとあれこれ考えてみます。

艦これは元々ブラウザゲームでPC用としてはすごく軽い

艦隊これくしょんこと艦これは、元々はパソコン向けのブラウザゲームと呼ばれるタイプのゲームです。AdobeのFLASHを使ってブラウザ上で動作します。

通信は動作の要所要所でのみ行い、ゲーム進行上のアニメーションは2Dのものでかなり限られた単純な動きしかしません。3Dものとは違いGPUが3次元データの処理をすることがほとんどありませんので描画負荷は低いはずです。

つまりブラウザゲームとしてはかなり重い部類の艦これでも、パソコンのゲームとしてはものすごく軽い部類のソフトと言える訳です。

そんな艦これもスマートフォンで動かしてみると、びっくりするぐらいバッテリーを食ってしまいます。また、プレイ中にはほんのりとではありますがスマートフォン本体が暖かくなります。

それなりのパワーと電力を食っている証拠ですね。

こういったあたりや、バッテリーの激しい消費具合からタイトルの疑問を持ちました。

とりあえず非力

動作中にある程度発熱すること、バッテリーをかなり消費することから見ると、艦これはスマートフォンにとってはかなり重たいタスクのようです。

PC版ブラウザゲームの艦これはパソコンにとってはゲームとしてはかなり軽いものですから、比較してみるとやはりスマートフォンはまだまだパソコンと比べて非力なんだろうな、と言うことが言えると思います。

ATOM搭載のタブレットPCベースの2in1 PCでも艦これを動かすことがありますが、パソコンとしてはかなり非力なこのPCでもスマートフォンほどには艦これは重い処理には見えない動き具合です。

色々な条件の違いがありますが、相対的に見て少なくとも艦これを動かす際にはスマートフォンの方が電力効率が悪そう、と言う風に感じました。

スマートフォンも電力を食うときは食う

一言で書いてしまうと見出しの通り、とても省電力性が高いと思われているスマートフォンでもしっかりと重い処理を動かせば、それなりに電力を食う、ということです。

この部分には3Dものなど本格的なスマホゲームをよく遊ぶ方は既に気づいていると思います。熱もかなりしっかり持ちますしバッテリー駆動時間もかなり短くなります。

スマートフォンの心臓部であるSoCのCPU部は、パソコン用のCPUとはちょっと異なる思想で設計が行なわれています。

軽い処理はできるだけ効率よくパワー・電力を使わずに動かす工夫をし、処理能力が必要となる重たい処理では「手加減せずに」高い処理能力を使って一気に短時間で処理を終わらせることでトータルの電力消費を落とそう、という考え方です。

このため、ゲームのように連続して高い処理能力を発揮し続ける必要のあるシーンになるとそれなりに電力を食い続けることになって、スマートフォンだから省電力、という図式は当てはまらなくなります。

スマートフォンが上手な部分

パソコンと比べスマートフォンの省電力性が際立つのは、何もアプリを動かしていないアイドル状態です。この状態になったときの消費電力が圧倒的に低いので、積極的かつハードにスマートフォンを活用するといった使い方をしなければ、非常に長いバッテリー駆動時間を実現できるようになっています。

バッテリーの容量がノートパソコンやタブレット型のパソコンに比べて小さいハンデもありますが、ゲームなどの重たい処理を積極的に使うとむしろパソコンよりもバッテリーは持たなくなります。

スマートフォンは色々な処理をあまり電力を使わずCPUも使わずに、効率よく動かすための色々な追加のハードウェアを持っています。例えばカメラで撮影した静止画や動画を処理するためのメディアプロセッサですね。

この辺りをうまく活用出来る使い方だと、処理性能に比べて非常に少ない電力消費でうまく動くことが出来る仕組みになっています。

逆に言うと、こういったサポート用のハードウェアがうまく動かない処理では、スマートフォンの電力効率はあまり良くなくなります。

また、今のスマートフォン用のSoCのCPU部には、そこそこのパワーしかないが消費電力がとても低いコアと、そこそこ電力を食うけれどもハイパワーなコアが組み合わされています。

動かすアプリの内容を判断してどちらのコアで処理するかを振り分けて、電力消費と処理性能のバランスを取ります。単純な静止画やテキストのみのWebページの表示などは、消費電力が低い方のコアを使って電力の消費を抑えるといった仕組みです。

この辺りにうまくマッチせずハイパワーな方のコアがフルに動く状況になると、やはりスマホは省電力とは言えない状態になります。

ちなみに、スマホ版艦これはAndroidOSにFLASHプレイヤーが提供されなくなったため独自アプリで動作するようになりました。このためうまく判断が利かずに高効率コアの方が使われなくなって、本来必要のない電力消費になっている可能性もあるかもしれません。

やっぱり完全なデバイスはない。たぶん

パソコンの方はスマートフォンに比べ、アイドル時の消費電力を抑える部分で大きく見劣りがします。この部分がスリープ状態などで放置出来る時間の限界を低く抑えてしまっています。

この部分ではスマートフォンにまだまだ大きなメリットがあります。

そのスマートフォンも使い方によっては相対的にパソコンよりもバッテリー駆動時間で不利になるケースもある訳で、やはりまだ色々の面で完全なデバイスというのは実現されていない、というのが現実なのかもしれません。

Windows 10の世界ではスマートフォンの心臓部を使ったパソコンも世に出始めています。パソコンとスマホ、両者のいいとこ取りを狙うデバイスも今後は生まれてくるかもしれませんね。

器用貧乏にはならずに、上手な落としどころを見つけてくれることを期待します。