Windows 10 April Update 2018の新要素の詳細
Windows 10の2018年春の大規模アップデートであるWindows 10 April Update 2018、アメリカ本土ではなんとかギリギリ4月中のリリースになりました。
日本では時差の関係で、日が開けて5月1日未明からの配信開始になった雰囲気です。
たまたま別件で夜更かしをしてしまったあと、ふと気づいてAM2時頃にWindows Updateのチェックをしてみたら更新プログラムが落ちてきました。さすがに眠かったのですが、メインPCだけは最後まで更新を走らせてしまいました。
今回はWindows 10の新しい大規模アップデート、April Update 2018の新要素を少し詳しく見ていきます。
今回はWindows Update経由で順調に配布?
2017年の秋の大規模アップデートまではWindows 10の稼働台数も考慮に入れてか、全PCに一気に更新プログラムが適用されることはなく時間差で段階的に配信が行なわれていました。
ですがApril Update 2018ではこの制限が外されているかもしれません。
手元のパソコン3台に導入してみましたが、どれもWindows Updateのチェックを行なうと一発で更新が見つかり、すぐにApril Update 2018の導入を行えました。
やはりマイクロソフトのWindows Update対応のサーバー用の回線の帯域は半端なく、April Update 2018の配信でも帯域制限をかけていないようです。有線LAN接続のデスクトップパソコンの方では、瞬間的に最大640Mbpsの下り転送速度を叩き出していました。
また、更新プログラム自体のサイズも小さくなっているのか、更新プログラムのダウンロードは10分とかからずに終了した感触です。
そこそこハイスペックでシステムドライブにSATA3接続のSSDを使用したデスクトップパソコンでは、更新はトータル1時間ほどで終わったと思います。間にはいつも通り3回ほどの再起動を挟みました。
CPUがATOMでメインメモリ2GB、ストレージにeMMC接続のSSDを搭載したミニ2in1 PCでは、トータル2時間ほどかかっていました。
では、次節からApril Update 2018で導入された新機能などを少し詳しく見ていきます。
タイムライン
今回の大規模アップデートで最大の目玉機能と言えるのが「タイムライン」だと思います。機能のイメージとしてはブラウザの「履歴」機能が近いでしょうか。
Windows 10上で作業したアプリの履歴を過去に遡って再現することが出来ます。
従来のタスクビューを拡張した形で、起動のためのキーボードショートカットもタスクバー上のボタンの位置もタスクビューと同じになっています。
タイムラインの画面では、タスクビューに加えて右端に時間軸を制御するスライダーが設けられています。これを動かすことで過去30日分まで遡って作業を行なった内容を確認・再現することが出来ます。
また、必要であれば履歴を残しておく期間を更に拡大することも出来ます。
タイムラインに履歴である「アクティビティ」を載せるためには、ソフトウェア側で明示的にタイムラインを使うプログラミングが必要とされています。ですが、タイムライン実装以前の古いソフトウェアでもタイムラインに履歴が載ってくるものがあります。
恐らくWindows 10標準のAPIからタイムラインに載せる情報が書き出されているのでしょう。
著者個人がよく使うテキストエディタのTeraPadもしっかりタイムラインに履歴が残り、予想外ですが大変助かっています。
近距離共有
Wi-FiやBluetooth機能を搭載したパソコンならば、近くにあるパソコン同士で直接ファイルなどの交換を行える機能が「近距離共有」です。
交換を行なうパソコンはそれぞれ近距離共有の機能を有効化しておく必要がありますが、非常に簡単に画像などを送信することができます。
受信側で送信を認める操作が必要ですが非常に簡単にファイル・データのやりとりが可能です。
集中モード
英語表記では「Focus Assist」と名前が付けられていてちょっと言葉から見るイメージが異なりますが、日本語版では「集中モード」として実装された機能です。
集中して何かの作業を行ないたいときにWindowsの通知が邪魔になることがあります。集中モードではこの通知の抑制を行うことができます。
アクションセンターから簡単に機能を有効化出来ます。
またある時間帯は全ての通知をカットすることも出来ますし、重要な通知だけは有効にするといった設定も可能になっています。
ユーザーインタフェースの改善
April Update 2018でもかなり重要なユーザーインタフェースに修正が入りました。
Windows 10では基本的なよく利用するUI部分にもかなり大胆に改善を盛り込んでくるのが特徴の一つと言えるかもしれません。今回もその姿勢に変化はなく、スタートメニューや設定アプリなどのかなり重要な部分に修正が行なわれています。
スタートメニューでは、プログラム一覧のうち日本語名ソフトウェアの頭文字による索引が、従来の「あいうえお」表記から「あかさたな」表記に束ね直されました。
元々日本語の名前のソフトウェアは大量にある訳ではないですし、そんなに大量のソフトウェアをインストールするユーザーも多くはないはずですから、この部分の見やすさは大分改善されたはずです。
設定アプリはホーム画面のアイコンサイズが見直されてかなり小さくなり一覧性が上がりました。また、Fluentデザインが適用されるようになり見栄えが良くなっています。
また、コントロールパネルから設定内容の移行がまた少し進み、設定のまとめ方自体もさらに整理が行なわれています。
GameDVRの調整
名前にはゲームと付いていますが、実際にはほとんど全てのアプリやウィンドウの静止画、動画でのキャプチャが可能なGameDVR機能、こちらにも改善が入っています。
最もわかりやすい部分では、録画などの制御用のコンソールに恐らくFluentデザインが適用されUIが一新されました。
ストアから導入可能な要素が追加に
マイクロソフトストアから導入可能な要素が2つ追加になっています。
Windows 10上でLinuxそのものの機能を実行可能になるWSL(Windows Subsystem for Linux)のディストリビューションそのものを、ストアアプリ経由でインストール出来るようになっています。
こちらの機能は若干一般的なストアアプリとは異なり、Windows 10側の開発者モードを有効にしないとインストールが失敗するのですが、仮想マシンなどをセットアップしてLinuxを導入するよりもずっと簡単にLinuxサーバを作ることが出来ます。
開発作業には大変便利な機能になってくれるでしょう。
また、従来はApacheなどのLinuxのサーバ機能を起動しても、WSLのウィンドウを閉じてしまうと一緒にサーバ機能も終了してしまっていましたが、この部分が改善されてサーバ機能自体がWindowsのサービスのように独立して稼働し続けられるようになっています。
マイクロソフトストアからは追加フォントのインストールも出来るようになっています。
Windows 10が集めた診断データの内容確認が可能に
Windows 10では、と言うよりも「Windows 10でも」が正しいかもしれませんが、各種サービスをユーザーに合わせてカスタマイズする目的などで、OS自体がユーザーの振る舞いやその他の色々な情報を収集してマイクロソフトに送信しています。
そのデータの内容を詳細かつきれいにフォーマットして確認する方法が提供されるようになりました。
内容を読みこなすには少しスキルがいりますが、基本的にはXMLで構造化されて記載されているようです。
そのあたりの情報の送信内容が気になっているユーザーにはちょっとうれしいニュースになるかもしれません。