早くも第二世代Ryzen登場。MAはキャリーオーバーながら性能向上も

AMDのRyzen情報ページ

第二世代のRyzenが早くも登場しました。

ただしこれは本当に新世代のRyzenである「ZEN2」アーキテクチャではありません。CPUのマイクロアーキテクチャ自体は最初のRyzenと同じまま、製造プロセスをGLOBALFOUNDRIESの14nmから12nmにスイッチしたものです。

これにより電力効率の改善と動作クロックの向上が実現されました。

今回は第二世代のRyzenシリーズの内容を見ていきます。

マイクロアーキテクチャは第一世代からのキャリーオーバー

第二世代のRyzenではCPU本体にはほとんど手が入っていません。特にコアのマイクロアーキテクチャは完全なキャリーオーバーとなっていて、その部分での性能向上はありません。

その代わり内蔵キャッシュメモリの性能が見直されていて、アクセスのレイテンシが大きく改善されました。これによりCPUトータルのクロックあたり性能(=IPC)が改善されました。

また、製造プロセスが進化したことで電力効率が改善されています。

もう一つ動作クロックのブースト制御ロジックが見直されていて、複数コアが動作中の時の動作クロックアップの幅が大きくなりました。これによって冷却や消費電力の枠に余裕がある時の実効性能が第一世代のRyzenよりも向上します。

こちらの余裕を見るためか、第二世代のRyzenのハイエンドチップではTDPが105Wに引き上げられています。その分の実性能向上は確実にあるようですが、消費電力の少なさに関するウリの部分では少し後退したかもしれません。

得意ジャンルと不得意ジャンルもそのまま

CPUのコア自体のマイクロアーキテクチャには変更がないため、得意とする処理、やや苦手な処理内容といった特性は、第一世代のRyzenの特徴をそのまま引き継ぐイメージになっています。

純粋なCPUの演算を活用するタイプの多スレッド対応の処理性能の高さはRyzenシリーズならでは。その代わりやはりAVX系の命令を多用するような処理ではコア数の少ないCore iプロセッサに実性能で逆転を許すケースもあります。

最高動作クロックの面ではCoreプロセッサがまだ少し先を行っていますので、IPC値の関係と動作クロックの掛け合わせでシングルスレッド性能はCore i7-8700Kあたりが一歩先を行きます。

それでも多スレッド処理においては非常に高いコストパフォーマンスを実現可能なのは第二世代のRyzenでも同じ傾向ですね。

利用するソフトにもよりますが、高画質動画のエンコードや3D CGのレンダリング、高解像度の写真を大量にRAWデータから現像処理するなど、マルチスレッド処理をフル活用出来るアプリケーションでは多大な威力を発揮しそうです。

ちょっと誤解しやすいGLOBALFOUNDRIESの製造プロセス表記

第二世代のRyzenでは、GLOBALFOUNDRIESの12nmプロセスで製造が行なわれます。ですが、この表記が結構な曲者。

14nmプロセスから12nmプロセスの間では、実際には製造のプロセスルールは「シュリンクしていません」。一部大手のWebメディアでもプロセスがシュリンクしたと誤表記してしまっている記事を見かけましたが、この表現はちょっと感心しません。

なぜ12nm表記になっているかと言えば、製造する半導体の物理設計をやり直してサイズを小さく出来るセルライブラリを使えば12nm相当のサイズのチップが作れる、と言った意味です。

この高密度用のセルライブラリはどちらかと言えば低速で低消費電力動作の半導体向きで、現在のCPUやGPUに適用するのはちょっと無理のあるもののようです。このためGLOBALFOUNDRIESの12nmプロセスを使っても、高性能なCPUなどではチップサイズが小さくなることはありません。

製造プロセスの改善による電力効率の向上部分のみがメリットになります。

そういった意味ではインテルが第8世代のCoreプロセッサで使っている「14nm+」プロセスのイメージが近いでしょう。

本当にプロセスルールがシュリンクしているなら、CPU側の設計を変えなくても新しい製造プロセスで作り直すだけでチップサイズが小さくなるはずですが、第二世代のRyzenではそうはなっていません。

まあ、この問題に限らず、既に製造する会社によって同じ14nm世代でもトランジスタの大きさがかなりまちまちですので、これらプロセスルールの数字だけでは同列での評価は出来なくなってしまっているのですが。

こちらも困りものですね。