カッチリしたタイプ感と長いストロークが欲しい人に。バッファローの新キーボード

BUFFALO ディープストロークパンタグラフキーボード BSKBU515BK

パソコン用キーボードには構造の原理的な面から、大きく分けていくつかのタイプが存在しています。構造の違いでキータッチやキーストローク、価格などが大きく違う製品が出来上がります。

そんなパソコン用キーボードにちょっとユニークな製品が登場しました。

ノートPCでよく使われる「パンタグラフタイプ」の構造を取りながら、深いキーストロークを実現した製品です。今回はキーボードのタイプごとの特徴を簡単にまとめつつ、バッファロー製のユニークなキーボード「BSKBU510BK」をご紹介します。

キーストローク3.8mm

今回ご紹介するバッファローのキーボード「BSKBU510BK」はパンタグラフタイプのキーボードとしては異例に長いキーストロークを実現できています。

この部分がこの製品最大の特徴と言っていいでしょう。

キーストロークは3.8mmあり、一般的なメンブレンタイプのキーボードなどの4mm程度のストロークに肩を並べる水準となっています。恐らく多くのユーザーが横に並べて使用しても違和感を感じることはほとんどないでしょう。

加えてパンタグラフタイプのキーボードの特徴であるキートップのぐらつきのなさも合わせて実現されているはずですから、タイプ感はかなり良好であることが期待できると思います。

パンタグラフタイプのキーボードで3mmを超えるキーストロークを実現した製品は、著者はこの製品以外ではロジクールのイルミネートキーボードK740以外知りません。

K740はキーストローク3.2mmとされています。

著者は以前メインPCでK740をしばらく使用していましたが、その時の使用の感触では、メンブレンタイプなどのキーボードと遜色ないストローク感があったように記憶しています。

「BSKBU510BK」ではそれを上回るストローク感、タッチの良さがあるかもしれません。

ノートPCのキーボードが嫌い、というユーザーのある程度の割合はそのストロークの短さが原因のようです。

キーストロークが短くなるとゲームの際の入力の反応の速さは簡単に出せますが、ストロークする間の押し圧の変化などでキータッチの際の感触の良さの演出は難しくなります。

ユーザーによってかなり好みが異なる部分でかつ、人間の感性がかかわる非常に難しい部分ですが、ストロークの長さがあった方がタッチの良さを出しやすくなるのは間違いがないでしょう。

バッファローのBSKBU510BKは入力の際の気持ちの良さとキートップのカッチリ感を両立可能な製品かもしれません。

キーボードのタイプごとの特徴

少し製品紹介からは脱線しますが、今あるキーボードのタイプごとの特徴を簡単にまとめてみましょう。

メンブレンタイプ

今、一番数的に普及していると思われるキーボードのタイプは「メンブレンタイプ」。

ゴムのドームでキートップを支え、そのゴムのドームの反発力などでキータッチやキーストロークをコントロールする製品です。

キートップを支えるゴムの内側に導電性の材料が組み込まれていて、キーを押し込んでゴムのドームがつぶれたときに接点が繋がり電気が流れてキーが押し込まれたことを判定するようになっています。

シンプルな構造で安く作ることができ、耐久性も非常に高いメリットがあります。

その代わりキータッチの「節度感」を出すのが難しく、その部分にこだわるとメンブレンタイプならではのコスト面のメリットが薄まります。

またコストを抑えたタイプではキートップの支持もゴムのドームで行ないますので、キートップのぐらつきが大きめになります。

この二つの点が気になるユーザーの場合にはメンブレンタイプのキーボードのキータッチはあまり気持ちよく感じられないかもしれません。

キートップのガイドなどの機械的な支持機構を追加すればメンブレンタイプでもカチッとしたキートップを実現できますが、その分、メンブレンのメリットであるコストの安さが薄れてしまいます。

なかなか難しい部分でもあります。

メカニカルタイプ

一部に熱狂的なファンがいるのが「メカニカルスイッチ」を採用するタイプのキーボードです。

キーの一つ一つにしっかりした打鍵感のあるスイッチを搭載していて、カッチリした打ち心地と気持ちよいクリック感を体感できるキーボードが多くなっています。

一番の弱点はキーボードがどうしても高価になること。最低、1万円の予算が必要でしょう。

その代わり非常に心地よい打ち心地が味わえます。

キーの入力を判定する機械スイッチ部分とキーの押しごこちを作り込むバネやキートップの支持機構が独立していますので、押し圧、押しごこち、キー入力の際のクリック感などをかなり自由に作り込むことが出来ます。

その辺の違いでいくつかの種類のキースイッチが作られていて、ユーザーの好みによってキーボードを選択出来ることもメリットです。

多くの場合、キーの打鍵音が大きめな部分には注意が必要なキーボードでもあります。

特に打鍵圧が高めのユーザーは使う場所には注意が必要となるでしょう。職場には持ち込まない方がいいかも?と思われるレベルの打鍵音がある製品もありますので、製品選択時と使う場所にはちょっと気を遣いましょう。

パンタグラフタイプ

パンタグラフタイプ」はノートPCでの採用例が多いキースイッチで、キートップを電車の電気を取り込むパンタグラフのような機構で保持します。このため、キートップのぐらつきが極めて少ない、精密感の高いキーボードを実現しやすくなっています。

弱点はコストがやや高めなことと、キーストロークを長く取りにくいこと。最近の薄型ノートPCのキーボードだと、ストロークが1.5mmあれば長いほうと言えるぐらいになっています。

このキーストロークの短さがノートPC、パンタグラフタイプのキーボードが嫌われる一因のようです。

打鍵の際のはっきりしたクリック感は出しやすく、短いストロークの中でもカッチリした打ち心地を実現しやすいタイプのスイッチです。

機構が若干複雑な分、メカの作り込みがしっかりしていないとメカ部分のガタから「カチャカチャ」いうような少し安っぽいノイズが出ることもあります。そのあたりの作り込み精度を上げると高級感も出ますが、その分コストが高くなるところは難点でしょう。

静電容量無接点方式

一部の高級キーボードに採用されるキースイッチです。

機械接点なしでキー入力の判定が行える独特の仕組みを採用しているため、基本的にスイッチ部分が劣化しません。極めて高い耐久性が実現できるタイプのスイッチです。

スイッチの構造上、電子回路側をちょっと工夫するだけで、キーを押し込んだ深さのどこで入力されたと判定するかの閾値をかなり自由に動かすことが出来ます。

ゲーム用キーボードでは判定をうんと浅くすることで反応の速さを出すことも出来ます。

また、この仕組みをフル活用することで「アナログ入力」が可能なキーを実現した、極めてユニークな製品も存在します。

この方式でもキートップの支持、キータッチを出す仕組みとキー入力の判定部分が完全に独立しているため、キー入力の反応やキータッチ、重さなどをかなり自由に調整することが出来ます。

こういった能力をフル活用する形で、特にキータッチに優れたキーボードが多いのがこのスイッチの特徴でもあります。

ただ、価格はかなり高く、このタイプの製品の中では入手しやすいものでも2万円ぐらいの予算が必要になります。