15.6型の再発見?盛り上がりを見せはじめた大きなノートPC

HPのSpectre x360 15の情報ページ

モバイルノートパソコンのジャンルでは日本市場だけ他の国や地域よりもちょっと厳しい条件があります。

日本では移動の際に公共交通機関を使うことが多く、特に大都市の近距離の出張ではほとんどの場合電車を使うことになると思います。このためパソコンの特に重量面が大事な要素になります。

Ultrabookの概念が出てからこっち、モバイルノートパソコンの薄さと軽さが1つジャンプアップしたこともありますが、日本でモバイルノートパソコンを考える場合には重量面で1kgを少し超える程度が上限になっているイメージがありますね。

1.5kgを超える製品はモバイル用には「重い」と言われるのが現状だと思います。

日本のモバイルPC事情がそんな状況になっている中、ここ1年ぐらいでしょうか、アメリカ市場では、15.6型液晶を持つ重量もやや重めのノートPCや2in1タイプの製品のリリースが盛り上がりを見せている感があります。

今回はそのあたりの製品の流れを見つつ、ノートPCのトレンドをチェックしてみたいと思います。

最近登場した15.6型液晶搭載機

今回注目する15.6型液晶搭載機で、最近登場した機種をピックアップしてみます。

  • マイクロソフト Surface Book 2
  • HP Spectre x360 15
  • DELL XPS 15 2-in-1
  • LG gram

Surface Book 2はキーボードドックを分離可能なデタッチャブルタイプの2in1 PC。SpectreとXPSは液晶部分が360度回転してキーボード部の裏側に回り込むタイプの2in1。gramは純粋なクラムシェルタイプと、本体の構成もさまざまです。

Surface Book 2は強力な独立GPUを搭載するタイプで、SpectreとXPSはCoreプロセッサとRADEON RX Vegaを1パッケージにまとめた話題のチップを採用、gramは通常のCoreプロセッサを使っていますが、第8世代のものでリアル4コアCPUが選べます。

どれも今までのノートパソコンの枠を超える高性能を持つ機種になっています。

15.6型のメリット

15.6型という大きめの液晶を使うメリットの一番大きなものは、やはりその画面の見やすさ。一般的な視力を持つユーザーであれば、15.6型フルHDの解像度で得られる情報量をフルに活用することが出来ると思います。

現在日本でのモバイルノートパソコンの主流は13.3型液晶搭載機だと思われますが、このサイズでのフルHD解像度は文字としての情報量だけで考えるなら、使い切れる人の割合が少し減ってくるはずです。

Windowsパソコンであれば13.3型液晶でフォントのスケーリング100%の表示だと標準の文字のサイズは結構小さめですから、実際に使う際には125%などの設定を行っているユーザーの割合が増えているでしょう。

15.6型であればその必要性はかなり減ると思われます。フォントのスケーリングは100%のまま使えるケースが多いでしょう。

また、15.6型液晶のサイズがあれば規模の小さなプレゼンテーションだったら外部にプロジェクターを接続せず、ノートパソコン本体の液晶を使った形のプレゼンも十分に視野に入ってくるでしょう。

こういった用途を強く意識したのが、前の節で取り上げたHPのSpectre x360 15やDELLのXPS 15 2-in-1だと思います。

別の観点としては、薄型の筐体としても15.6型の大きめのフットプリントを活用することで、CPUやGPUの冷却能力に余力を持たせられる、と言うことがあると思います。

従来からリアル4コアのCoreプロセッサであるH型番製品は15.6型以上のサイズを持つノートPCのみに搭載されてきた、というのもありますし、TDPが65Wに達するRADEONを載せたCoreプロセッサを採用した製品が、どちらも15.6型を選んだというのもこのサイズの冷却上のメリットを示すものです。

最新の冷却用パーツの能力向上と容積の大きさをうまく使うことで、従来のデスクトップパソコンにも迫る性能を押し込めるサイズが15.6型、と言えるかもしれませんね。

ただ、これはたまたま今の技術のバランスが取れるサイズがここ、と言うだけの可能性は高いです。CPUやGPUの省電力化、電力効率の向上がさらに進み、冷却用パーツの性能がさらに上がればまた違うサイズでニーズと性能がバランスするポイントが出てくるのでしょう。

15.6型のデメリット

サイズが15.6型になるデメリットはやはりどう考えても可搬性の低下です。

フットプリントが大きく、小さめのビジネスバッグにはうまく収まらないケースも出てきます。また、重量面でも2kgを超える製品が増えますので、電車での移動の際にはネックになる可能性がグッと高まります。

薄さに関してはゲーミングノートPCを除きUltrabook基準の薄さを実現する機種が増えているため、こちらの面が問題になることは少ないでしょう。

LGのgramは15.6型液晶を搭載しつつ1kgちょっとの軽さを実現する、ある意味驚異の製品です。ただ、性能面では高性能なGPUがない分、現代のモバイルノートPCの性能水準に留まります。

今回、ピックアップした他の3製品は性能面で既存のノートPCの概念を超えるレベルのものになっていますが、gramはサイズと軽さのバランスの方に仕様を振ったタイプの製品になっています。

大画面で真のモバイルを、と言う場合には、唯一無二の製品になるかもしれません。

自動車での移動、と言うことならば2kg程度の重量が問題となることはないでしょう。大きさと重さというこのクラスの製品のデメリットが問題にならない場合には、出先での仕事に大きな可能性をもたらしてくれるかもしれません。

広がった可能性

第8世代のCoreプロセッサではU型番、TDP 15Wクラスの枠内でリアル4コア、8スレッド動作が可能になりました。同クラスのAMDのモバイル向けCPU、Ryzen Mobileシリーズも4コア8スレッド動作製品があります。

これによって薄型ノートパソコンでもかなり本格的なワークロードへの対応が可能になります。

出先での比較的簡単な動画編集とエンコード、高解像度の写真のRAW現像などもこなせるようになるでしょう。今まで自宅に戻ってデスクトップパソコンでしか出来なかった作業を出先でこなせるようになる可能性が高くなります。

これらはより小型の液晶を持った機種でも言えることですが、筐体の大きさをより有効に使うならばUプロセッサだけではなくより性能の高いHプロセッサを内蔵することも視野に入るでしょう。

実際、HPとDELLのRADEON搭載CPU内蔵機では、CPUはHプロセッサ相当の高性能なものとなっていて、定格動作クロックの面でも既に数年前のデスクトップパソコンに迫ると言えるレベルに達しています。

加えて15.6型のフットプリントは内蔵バッテリーの容量にもいい方向で効いてきます。

gramの20時間を超えるバッテリー駆動時間、その他のより高性能な機種でも比較的重い作業をさせても丸一日外出先のAC電源のない場所での作業が可能になりそうなレベルの、高いバッテリー駆動能力を持つ機種ばかりです。

Surface Book 2の15.6型液晶モデルは日本にまだ導入されていないなど、日本では認知度が低いこのクラスの製品ですが、色々な要素を考慮に入れて検討対象に加える価値が十分にある製品群だと思います。

日本でもこのクラスの製品の選択肢が広がってほしいものです。