表示側もいよいよHDR対応へ。VESA、DisplayHDR策定

VESAのDisplayHDRのページ

AV機器やソフトでは既にHDR(High Dynamic Range)が走り始めています。従来のソフト等の限界を超え、画面内の輝度差がより大きな映像表現が可能になりつつあります。

Blu-rayディスクでは既にHDR10という、映像のHDR規格に対応した製品が世に出ています。またこのソフトを本来の意図のまま再現できるプレイヤーやディスプレイ、テレビ製品も世に出ています。

PlayStation 4などもHDR表現に対応していますね。

これに対し、パソコンジャンルではHDR対応の動きがやや遅めでした。この部分でようやくキャッチアップの動きが出始めた、というところでしょうか。

今回はパソコンディスプレイでようやく立ち上がりだしたHDRの動きをまとめます。

意外と狭い輝度の表現幅

パソコンのディスプレイはRGB各8bitの合計24bitの色と明るさの情報を表示するように作られています。

色数にすると約1600万色という結構な色数になりますが、明るさに限って言えば256段階の輝度差しかありません

データ的に、写真で言うところの「白飛び」や「黒つぶれ」を簡単に起こすデータになっているわけです。

静止画に関しては現在ほとんどすべての画像フォーマットがRGB 8bitずつのデータにしか対応していません。

写真ジャンルで良くあるHDR画像は、大きな輝度差を丸めてRGB 8bitの輝度差の中に表現を「圧縮」したようなものです。本当の意味で画面内の大きな輝度差を表現出来るわけではないところに注意は必要かもしれません。

HDR写真でJPEG形式になっているデータには、本当の意味での大きな輝度差は記録されていません。また、仕組み的に記録することもできません。

これに先行する形で、動画のフォーマットの方では本当の意味でのHDRに近づけるための規格が策定されています。それが「HDR10」などの方式です。

こちらも本当に自由に大きな画面内の輝度差を扱いきれるわけではないようですが、従来のRGB 8bitだけの表現よりはずっと画面内のダイナミックレンジの大きな表現が可能になっています。

このような状況の中、パソコンのディスプレイはこれまではRGB 8bitだけの対応に留まっていて、本当の意味でのハイダイナミックレンジ対応はありませんでした。

本物のHDRへ

このようなパソコン用ディスプレイが真のHDR対応で後れを取っている状況を改善する動きがようやく出てきました。ディスプレイの規格を策定するThe Video Electronics Standards Association、VESAがようやく動きました。

DisplayHDR 400、600、1000の3つの規格をまとめたのです。

400、600、1000の数字はディスプレイデバイスとして表示可能な実際の明るさを表しています。

1000ならば最大輝度1000cd/平方mを表示できることが要件の一つになっています。

パネルのネイティブコントラストは最低1:955などかなり細かな仕様が規定されていて、色域もsRGBなどよりかなり広い範囲が指定されています。

規格をクリアするにはかなり頑張った製品作りが必要になりそうで、これを名乗るディスプレイはかなり高価な製品になりそうではあります。おそらく少なくとも初期の製品は完全なプロ向けの製品になるでしょうね。

HDR10対応は既に少しずつ

この規格がまとめられる前からディスプレイ側は少しずつHDR10対応を始めていました。

パソコンでも対応ソフトがあれば、おそらくHDR10で収録を行ったBlu-rayディスクの再生が可能になると思います。

ただ、動画の対応が先行する形になっていて、静止画に関してはあまり動きがないようにも見えます。例えばRGB各10bitで記録するような画像フォーマットのお話は聞きません。

表示デバイスやパソコン側が対応を進めていますから、今度は静止画のフォーマットに動きが出るかどうかも注目ですね。

ただ、このあたりのトレンドを変えるのはかなり難しく、JPEGよりも圧縮率が高く高画質なフォーマットが策定されたりしましたが、結局一般化することはありませんでした。

そのあたりも含め、少しアンテナを高く上げておいた方が良いジャンルかもしれません。