RADEONを載せたCoreプロセッサ、遂に正式発表

RADEON搭載Coreプロセッサの製品情報ページ(Intel Ark)

少し前に先行する形でインテルからのニュースリリースがあって、コアなPCユーザーの間に激震を走らせることになったかもしれないニュース「CoreプロセッサにRADEONが載る」、が遂に本当に現実のものとなりました。

現地時間の1月7日にインテルが「8th Gen Core Processors with RADEON RX Vega M Graphics」として正式な発表を行なっています。

4コア8スレッド対応の第8世代のCoreプロセッサにミドルレンジクラスのRADEON RX Vega、それと4GBのHBM2メモリを1パッケージにまとめたこの製品をより詳しく見ていきます。

内部の詳細

「8th Gen Core Processors with RADEON RX Vega M Graphics」のプロセッサには、4つのSKUが準備されました。

基本的にはどの製品も4コア8スレッド対応でノート向けの高性能プロセッサ、Hプロセッサと呼ばれるランクの第8世代のCoreプロセッサに、ミドルクラスぐらいに相当するRADEON RX VegaシリーズのGPU、加えてVRAM用として4GBのHMB2メモリが1パッケージにまとめられています。

「統合」という言葉が使われる製品ではありますが、実際の内部構造はそれぞれの要素が完全に別のダイとなっていて、内部的には統合よりも「接合」が近いまとめ方になっています。

CoreプロセッサとRADEONのダイの間はPCI-E x8相当のインタフェースで接続されています。

またHBM2メモリの実装には、インテルが開発した低コストなスタックドメモリなどの実装方法である「EMIB」が使われています。

この方式では非常にコストが高く実装の難易度が高めのTSV(シリコン貫通ビア)を使う必要がないのが最大の特徴で、実装コストを大幅に抑えられるのが最大のウリとなっています。

完全に統合されたチップにはなっていないため、一般的なCPUパッケージとしてはかなり大きめのサイズ感です。ですが、CPUと独立GPUを別々に実装するよりもかなり基板面積を節約することが出来ます。

またダイが統合されておらず完全に分離しているため、1チップ化されているよりも熱処理はある程度楽になると思われます。

このチップのCPU部は、エントリーとなるチップが定格2.8GHz動作、ターボブースト時最大3.8GHz動作。その他の上位のチップは定格3.1GHz、ブースト時4.2GHz動作が可能な、かなり高性能のものとなります。

面白いことにインテル独自の統合GPUも載っていて、こちらの機能もそのまま活かされています。ノートPCのバッテリー駆動時に、RADEON側を止めることでバッテリーライフを伸ばすことも可能になります。

また、インテル独自の動画エンコードエンジンQuick Sync Videoなどもそのまま活用できる仕組みになっています。

統合されるRADEONのダイはこのチップ向けのカスタム仕様となります。

上位機種向けには1,536SP相当の演算ユニット、下位機種向けには1,280SP相当の演算ユニットが搭載されます。

TDPは前者の高性能版のRADEONを積む製品が100W、エントリー版のRADEONを載せる方が65Wになります。

インテル独自の統合GPUを持つ製品との性能差をはっきりと打ち出すために、TDPや消費電力の面ではかなりの水準に至る形になっています。

第7世代のHプロセッサ+GeForce GTX 1060搭載のゲーミングノートPCを超える性能

8th Gen Core Processors with RADEON RX Vega M GraphicsシリーズのCPUを搭載したパソコンでは、スペックの通りかなりのグラフィック性能を持つことになります。

一般的な統合GPUで必ず性能のボトルネックとなるメモリアクセスが、HBM2を搭載することで完全に改善される形になっています。独立GPUとの比較でもミドルレンジからハイエンドに迫るメモリ帯域を実現できています。

実際のゲームソフトを使ったベンチマークでも、NVIDIAのMAX-Qコンセプトを採用したGeForce GTX 1060搭載のゲーミングノートPCを超える性能を叩き出します。

8th Gen Core Processors with RADEON RX Vega M Graphicsがフルに性能を出し切れるかどうかは冷却機構の性能次第という部分はありますが、ポテンシャルとしては非常に高いレベルを持ち合わせた製品であるのは間違いありません。

裏事情?

インテルの内部的な事情の噂話としては、この製品はインテルのお家事情が絡むかたちで生まれた製品なのかもしれません。

インテルもHBM2などの広帯域のスタックドメモリを真の次世代のCoreプロセッサで使うことを考えていたのでしょう。EMIBという有望な実装方法も開発できていますし。

ですが、肝心の10nmプロセスの新Coreプロセッサの開発が、大きく遅れているようなのです。

せっかく開発して実用段階までこぎ着けたEMIBを量産することで実製造上のノウハウを蓄積したいのに、それを使い切れる製品が自社内だけではまかなえない。

その辺のさまざまな事情が絡み合って、もしかしたらやむを得ず出来上がったのが8th Gen Core Processors with RADEON RX Vega M Graphicsということなのかもしれません。

でもいずれにせよ、非常にユニークで便利に使えそうなスペックをまとめた製品が出来上がったと思います。

既にインテル自身は新たなゲーム向けのNUCをリリースすることを発表していますが、他社からどんな製品が生まれてくるか、また一つ楽しみが出てきました。