カスペルスキーセキュリティにFree版登場

先日、セキュリティソフトメーカーの大手の一つカスペルスキー社が、同社のセキュリティソフトであるカスペルスキーセキュリティのFree版を提供開始するとの発表を行ないました。

製品版カスペルスキーセキュリティと同様のエンジンを搭載し、基本機能を有効にした上で広告も表示しない製品と言うことで、かなり驚きを持って受け止められたニュースだったかもしれません。

日本からもこのソフトのダウンロードが可能になっていましたので、手ものとのサブPCに導入してみました。

機能の内容

まずカスペルスキーセキュリティのFree版の機能を見てみましょう。

起動画面で分かるとおり、最新のカスペルスキーセキュリティのウリとなっている機能のいくつかがブロックされる形になっています。

ネットバンキングなどの利用の際にIDやパスワードのフィールドをガードするネット決済保護、ユーザーのWeb上での振る舞いをトレースするクッキーをブロックしたりするプライバシー保護、親御さんがお子さんのネット利用に制限をかける保護者による管理などのボタンがグレーアウトして利用できない形になっています。

詳細設定を見てみると、リアルタイムでファイルのスキャンを行なってくれるファイル保護、ブラウザ利用時にクリックしたリンクが安全かどうかをチェックするウェブ保護、インスタントメッセンジャーで送られてくるメッセージが安全かどうかをチェックするメッセンジャー保護、メール経由で送られてくるウィルスなどを駆除するメール保護の機能は生きており、セキュリティソフトのコア機能は全て利用可になっていると言える状態です。

これだけの機能を使えつつ、無償かつ広告無し、というのはかなり驚異的なビジネスモデルと言えるかもしれません。

Windows 10などでWindows Defenderをそのまま利用しているユーザー向けの、代替セキュリティソフトしても大きな候補になってきそうです。

何故こんなやり方が成立するのか

一見するとこれで本当に元が取れるのか?というようなソフトではあります。

付加機能が必要ないユーザであれば、むしろ製品版のカスペルスキーセキュリティを購入しなくて大丈夫なんじゃないか、そういうレベルの機能が盛り込まれています。

導入の容易さ、誤検出などのトラブルの少なさも合わせ、他社製の無償版セキュリティソフトにもかなりの脅威になるかもしれません。

自社のパイも食いかねないソフトでコストもそれなりにかかるはずですから、こんなことをやってカスペルスキー社に何のメリットがあるのか、と思われるかもしれません。

ですが今のウィルスの新種の発生スピードを考えると、新しいウィルスを検知する作業をセキュリティソフトを作っている会社のスタッフだけで行なうには厳しい限界があります。

このため今のセキュリティソフトは既に、インストールされたPCで検出した怪しい動きをするアプリの「プローブ」、検出器としても働くように作られています

どのセキュリティソフトでも同様で、名称や機能に「クラウド」の単語が使われるようになったあたりからこの機能は搭載されているはずです。

と言う訳で、カスペルスキーのFree版もより多くのPCに導入してもらうことで、数の力を使ってより速く新種のウィルスやマルウェアを検出するためのプラットフォーム作り戦略の一環、と言ってもいいのだと思います。

インタフェースやエンジンは製品版と一緒で、UI上から使える機能のボタンをクリックできなくしているだけに見えますので、実は追加コストはあまりかかっていなかもしれません。

ここ最近のウィルスやマルウェアの新種、亜種の登場スピードを見れば、実はとても合理的な戦略といえると思います。

実際に、むしろ最近追加される付加機能は不要だからシンプルなセキュリティソフトをくれ、というユーザー層もある程度いるでしょう。そういうユーザーにも訴求するエディションになるかもしれません。