遂に登場16コアのモンスターCPU、AMDのRyzen Threadripper

AMD Threadripper 1950X YD195XA8AEWOF

Ryzenシリーズが絶好調のAMDから、遂に16コア32スレッド動作対応の一般向けとしてはモンスタークラスと呼べるCPU、Ryzen Threadripperがデビューしました。

深夜の販売イベントも実施され、コアなAMD派のユーザーの人気を博したようです。

今回は早速このRyzen Threadripperを取り上げます。

抜群のコスパ、ではなくなった

Ryzen Threadripperの16コア32スレッド対応の1950Xのほうは、販売価格が14万5千円程度になっています。

インテルがCore-Xシリーズの価格を、前世代のモデルから考えるとびっくりするぐらいに抑えてきたため(Core i9-7900Xが11万円程度)、コストパフォーマンスで考えるとRyzen Threadripperが飛び抜けて高いものとはならなくなりました。

ただ、現時点で1パッケージのCPUで一般ユーザーが16コアのCPUを使える、と言う事実には非常に大きなものがありますね。価格は確かに高価ですが、非現実的なお値段でもありません。

従来Xeonなどを使わないと実現できなかった環境であることも考え合わせれば、画期的な状況が生まれたと言えます。

今後、インテルからは最大18コアの製品の登場が予告されており、そちらの展開とも合わせCPUの今後がどうなっていくかは、過去数年以上にわたって自作PC市場にはなかった面白い状況が生まれた、このことだけは間違いがないと思います。

Ryzen Threadripperの中身

Ryzen ThreadripperはRyzen 7の8コアのCPUを2つパッケージ内で接合して作られています

CPUのダイのバリエーションを極力抑えて多数の製品を展開するための、本来は苦肉の策ですが、AMDはその作りを逆にうまく活用している部分もあります。

Ryzen 7ではメモリは2チャンネルアクセスですが、Ryzen Threadripperでは接合した2つのCPUのメモリインタフェースをそのまま引き出すことで、合計4チャンネルのメモリが使えるようになっていて、メモリの転送速度でもCore-Xシリーズに匹敵する性能を得ています。

ただ、2CPUを内部で接合している影響がメモリアクセス速度に出ていて、他方のCPUコアにつながっているメモリにアクセスする場合には、データ読みだし/書き込みの遅延(レイテンシ)が増加するシステムになっています。

この影響を避けるため、メモリアクセスのレイテンシを重視する場合には、片方のCPUにつながる2チャンネルのメモリのみにプログラムとデータを配置するモードが準備されています。

逆にメモリの容量、帯域が重要なプログラムのためには、全部のメモリチャンネルを使い切るモードもあります。

合計16コアを持つCPUながら定格クロックも高く、Ryzen Threadripper 1950Xでは定格3.4GHzでの動作が可能です。ブースト時には最大4GHzで動作します。

そのかわりTDPはさすがの数値になっていて180W。さらにRyzen Threadripperでは動作温度の上限が最近のCPUとしてはかなり低めの68度に設定されていますので、CPUの冷却システムにはかなり強力なものが要求されます。

どんな条件でもフル稼働を期待するならば、水冷化が必須になるかもしれません。

マルチスレッドの効果が高い処理では抜群の性能

さすがに最大32スレッドの処理に対応できることもあり、マルチスレッドをフルに活用できるプログラムでは圧倒的な処理能力を発揮します。

ただ、さすがにまだソフトウェア側の最適化が進んでいないようで、多コアCPUが最も活きるジャンルの一つである動画のエンコード処理でも、CPUの能力をフル活用できるようにはなっていないようです。

そんな状況でもCore i9-7900Xの性能を圧倒するレベルの数値が出せるテストもありますので、ソフトの最適化が進めばより高い性能を発揮することが期待できます。

ただRyzenシリーズのCPUのマイクロアーキテクチャから予想できることではありますが、動画のエンコードでよく使われるAVX命令の実装に関してはやはりCoreプロセッサの方に強みがあります。

RyzenシリーズではAVX256命令の処理を128bitずつに分けた2回の演算で行なうため、この命令の実行速度が理論上Coreプロセッサの半分になります。

さらにCore-Xシリーズではベクトル演算のビット長を倍に拡大したAVX512命令が使えます

こちらがフル活用されるようになると、動画のエンコードなどの処理では性能差が小さくなったり逆転したりする可能性もあります。

このあたりは今後のソフトの最適化の状況を良くチェックしておくべきでしょう。

I/Oも強力

Ryzen ThreadripperではPCI-Expressのレーン数も非常に多くなっています。

このため転送速度が大量に必要になる、高速の周辺機器がたくさんぶら下げられるのも強みです。

最近、RADEONのRX480、RX580シリーズが市場から消すほどの人気を集めた、ビットコインのマイニング処理などにも強力な威力を発揮するはずです。

グラフィック処理向けでもマルチGPUによる超高解像度でのゲームプレイなど、使い途の幅が大きく広がる可能性があります。