動画編集用パソコンに必要なスペック
某所の質問箱、的なサイトの内容を眺めていたら、この記事のテーマについてちょっと考え始めていました。
今的にパソコンで動画の編集をする際に必要なスペックってどれぐらいのものだろう、と。
日々進化していくパソコンの世界ですから、利用可能な技術・性能もどんどん変化しています。今のパソコンで動画の編集をする場合に、どれぐらい性能などがあればいいのか、この記事で一つまとめてみましょう。
「動画編集」自体には実はさほど性能はいらない
まず大前提として一つ。
「動画編集」と言う際の、本当の動画の編集作業自体には、実はそれほど巨大なパソコンの処理能力は必要ない、ということがあります。
動画を編集したあと動画を仕上げるために、通常は何らかの形で動画の「エンコード」という作業を行なうことになると思いますが、パソコンのパワーを本当に必要とするのはこの「エンコード」の処理です。
この作業に関しては、パソコンの性能はいくら高くてもかまいません。CPUパワーがあればあるほどよい、そういうイメージですね。
少し例外もあるのですが、その部分に関してはあとで触れます。
長時間の動画を作るのでなければそこそこのパソコンで十分
例えば、お子さんの運動会のビデオを編集して1時間の作品を作る、と言ったケースですと、完成した状態で1時間の長さの動画をエンコードする必要がある場合が多いと思いますので、このような尺の長い動画を作りたい方は、CPUがハイエンドクラスのPCがあった方が処理の時間は短くすることが可能です。
ただ、ゲームのプレイ動画など、数分とか5分程度の動画を仕上げるのが目的の場合には、パソコンの性能はそこそこでも十分ことは足ります。
もちろんお仕事で動画をたくさん作る、といった場合は別ですよ?
このような仕事で「作業」として動画を作る場合には、パソコンの性能がそのまま作業効率を左右します。極力性能の高いパソコンを使うべきでしょう。
ただ、プライベートで趣味として動画編集をやるのならば、最後のエンコードに時間がかかるとしても、例えば夜寝ている時間パソコンでエンコードを処理させて放置しておく、なんてことができます。
また短時間の動画であれば、解像度を高くして画質を高めても、数十分もパソコンをほおって置けば動画は出来上がるでしょう。
動画編集がしたいから、ということだけで、無闇に高価なパソコンを新調する、といったことは不要なケースが多いはずです。
ちなみにちょっと古めですが6コアのそこそこ高性能なCPUを載せた著者のデスクトップパソコンでは、HD解像度(1280 x 720ドット)、毎秒30コマで画質重視の動画のエンコードに、動画の時間の2倍から3倍程度の処理時間がかかります。
5分の動画のエンコードに10分~15分、ということですね。
効率を上げるには
少しでも動画編集の効率を上げたい、と言う場合には、性能が高いパソコンの方が良いのは間違いありません。
そんな中で注目した方が良い機能の一つが、新しいGPUの持っている動画の「ハードウェアエンコーダー」です。
インテルの新しいCoreプロセッサの統合GPUにも載っていますし、AMDやNVIDIAの新しい独立GPUにも搭載されています。
ハードウェアエンコーダーを活用できる動画編集ソフトを使うと、動画を仕上げる最後の「エンコード」の処理のスピードを数倍以上高速化することも可能になります。
何より動画が仕上がる時間の速さを重視したい方は、これらの機能を使えるハード、ソフトを選ぶと良いでしょう。
ただ、現状のハードウェアエンコーダーの弱点は「画質」です。一言で言えば画質が悪いのです。
特にネットで動画を配信したいときなど、動画のデータの大きさを小さく、圧縮率を高めた動画を作ろうと思うと、ハードウェアエンコーダーの画質の悪さがより目立つようになります。
画質面ではCPUでエンコードの処理を行なう、「ソフトウェアエンコーダー」の性能がやはり数段以上高性能になっています。
仕上がる画質を最優先したいのであれば、ハードウェアエンコーダーを使わないようにした方が良いです。この形での作業を効率化したいのであれば、お金をかけるべき場所はCPUということになりますね。
おすすめパソコンの一例
具体的な機種名までは挙げませんが、動画編集に向いたパソコンの例を挙げておきましょう。
仕上がる動画の画質にはあまりこだわらずスピード重視の場合には、インテルの新しいCoreプロセッサを載せたパソコンが良いでしょう。ビデオカードはなくても大丈夫です。
動画の画質に徹底的にこだわりたい方は、CPU性能ができるだけ高いパソコンを選びましょう。最近登場したAMDのRyzenシリーズもコストパフォーマンスが良くて面白い存在ですね。
ただ、動画編集ソフトの多くは最後のエンコード処理で「AVX2」という命令を使って処理性能を上げています。この命令の実行性能がRyzenシリーズはCoreプロセッサの半分です。
このため動画のエンコード性能で8コアのRyzenが4コアのCoreプロセッサに負けることがあります。
使われるソフトとの兼ね合いで機種を選択すると良いでしょう。