超小型PC、GPD Pocket登場へ。またもクラウドファンディングから世界へ
クラウドファンディングのIndiegogoからまた極めてユニークなPCが登場しそうです。ほぼ7型液晶搭載のタブレットサイズのマイクロノートPCです。
男性の背広やジャケットの内ポケットにならすっぽり収まりそうなサイズの、ですが、きちんとしたキーボードを備えたクラムシェル型のノートパソコンです。
今回は「モバイラー」の夢を現実の形にしたような、超小型ノートPC「GPD Pocket」をご紹介します。
「モバイラー」の夢
昔から超小型PCには根強いファンがいます。
日本では「モバイラー」などと呼ばれたりもしますが、かつてのソニーのVAIO UやVAIO P、東芝のリブレットなどに飛びついて、その使い勝手に惚れ込んだ人たちが多いと思います。
物理キーボードでの入力に慣れきった人にとってはキーボードを備えたデバイスって、ペンと手帳そのもの(+α)なんですよね。仕事だけではなく、もう生活に欠かせないデバイスになっている人が多いはずです。
フランスで開発されている「4in1」デバイスのGraal Phoneに関しては、「一部のガジェットオタクに受けただけ」なんて、ものすごく冷たい記事を掲載する大手Webメディアもあって、ああ、この人たちは「モバイラー」の気持ち分からないんだなぁ、と、ちょっと残念でした。(もしかしたら、記事を書いた人はスマホネイティブなのかも??)
でもどこかにそんな風潮があっても、GPD Pocketのような製品は生まれてくるのがなんだかうれしいところです。
大手メーカーから登場するのは難しいのかもしれませんが、そういったニッチなニーズにも応えるための少量生産の仕組みとして、クラウドファンディングがうまく活用されている感じです。
GPD PocketはあのVAIO Pを一回りから二回り小さくしたようなサイズで、より高いスペックを詰め込んだWindows 10マシンになります。
スペック
GPD Pocketは最新のATOMを採用したWindows 10搭載機です。もちろんフルスペックのWindows 10 64bit版が動作します。
CPUにはATOM x7-Z8750を搭載。クアッドコアの定格1.6GHz動作、ブースト時最大2.56GHzで動くプロセッサです。
ATOMシリーズとは言え統合GPUもそこそこパワーがあり、16EUで128SP相当。軽いものならば3Dもののゲームも動かせる性能があります。
メインメモリは8GB、ストレージは128GBと潤沢なのですが、この部分が若干問題になるかもしれない要素も孕んでいます。ここに関してはあとで少し詳しく述べます。
液晶は7型のフルHDのものを搭載。
バッテリーは7,000mAhとかなり大容量になっています。
サイズは180mm x 106mm x 18.5mm。重量は480gとかなりコンパクトな作りです。
インタフェースにはType-C形状とType-A形状のUSB3.0コネクタを1つずつ、外部映像出力のためのマイクロHDMIを1つ持っています。
小型サイズのため、キーピッチの小ささが気になるところですが、アルファベットキーだけで横幅を使い切るような独自の配置となっているため、本体サイズを考えると大きめのキーピッチが実現されているようです。
ただその分、コロンやセミコロンなどのキーが追い出される形で、かなり特殊なキー配列になっています。ファンクションキーがないのに、記号のための列が追加された変則配列の6列キーボードです。
OSはWindwos 10とUbuntu
GPD PocketはOSにWindows 10またはLinuxディストリビューションの一つUbuntuを選択可能になっています。
どちらを選んでも価格が一緒の設定のため、どうやらWindows 10は低スペックPCに適用される無料ライセンス版を考えているようです。
ですが、本来無料ライセンス版は、パソコンのスペックをギリギリまで絞り込んだモデルにしか適用されないはずです。GPD Pocketの場合には、メインメモリとストレージがその要件をクリアできないような気がします。
今まで世に出ているPCを見る限り無料版のWindows 10を使うには、メインメモリが2GBまたはストレージが32GBと言うのが必要条件ではないかと思われます。
GPD Pocketではメインメモリもストレージもこの要件から飛び出しているため、実際の製品化の際にはWindowsのライセンスが問題になる可能性がありそうです。
399ドルで1台入手可能
現在もIndiegogoで出資が集められていますが、GPD Pocketは399ドルの出資で1台入手可能なコースがあります。
ただ、正式リリース前は技適を通していない可能性もあると思われますので、その点は注意が必要かもしれません。ですが同じメーカーが製造するニンテンドーDSのような超小型パソコンは、技適を通した日本国内版も製造されています。
ですので少なくとも正式な製造開始後は、きちんと日本国内で使用可能なモデルが追加される可能性は高いでしょう。
ちなみに、正式リリース後の価格は599ドルが予定されているようで、これだと無償版ではないWindows 10を使うのに適正な価格になっていると思います。
資金集めの方は目標を大幅に超過する200万ドル以上を集めていますので、正式な製造の方も期待できるでしょう。
メーカーには出来ない、とてもとんがったこのようなPCが生まれられる環境があるというのは、とてもうれしいことだと思います。