パソコン選択の基準その3 ~低価格パソコンはどうか?~
今は4万円以下で買えるような非常に手頃なパソコンも存在しています。こういったパソコンの使い勝手はどのようなものだと思われますか?
かつての「ネットブック」を知っている方だと、これぐらいの価格帯のパソコンにあまりいい印象を持たれていない方も多いかもしれません。さらにこういった低価格のパソコンが「ATOM」シリーズのCPUを採用していると聞けばなおさら。
今回はパソコン選択の際の候補の一つとして低価格パソコンがどうか、そのあたりをまとめてみます。
低価格パソコンのほとんどはATOMを搭載
今の低価格パソコンのほとんどは現行世代または1世代前のATOMを搭載しています。
メインメモリは2GBまたは4GB。ストレージはデスクトップパソコンなどで使われるSATAインタフェースではなく、タブレットやスマートフォン向けの「eMMC」と呼ばれるタイプのSSDを32GB~64GB搭載する機種が多くなっています。
色々なスペックをミニマムに絞り込むことで低価格を実現しています。これらの部分が使い勝手に影響する部分も出てきます。
ネットブックとは別物。高い実用性を備える今のATOM
まず一つ、最初に触れておくべきところは今のATOMシリーズのCPUの実用性能の高さです。ネットブック時代のATOMとは完全に別物と考えてください。
非常に低消費電力という特徴を残したまま、性能面ではとても実用的な性能を備えるようになりました。
一般的なネットの利用、WORD、EXCELなどのオフィスソフトの使用レベルならば全く問題なくこなす性能があります。
かつてのATOMは動画再生支援機能が弱く、ネット動画視聴程度でもアップアップするような状況がありましたが、その面でも今のATOMは完全に別物です。動画再生支援機能が強化されていて、動画を再生してもCPUにはほとんど負荷がかかりません。
また、画面の描画負荷の高くないものであれば、3Dもののゲームもある程度は対応可能になっています。
メモリ4GB、ストレージ64GBが1つの基準
Windows 10を快適に利用するには、メインメモリ(RAM)が4GB、SSDなどのストレージが64GBあることが最低限のボーダーラインです。
これを下回るスペックだと、そのパソコンは利用の際に少し工夫が必要になってきます。
具体的には、メインメモリ2GBのパソコンだと、32bit版のWindows 10が起動した状態で何もアプリを動かしていなくても、空きメモリは1GBを割ります。
同時に起動出来るアプリの数や、ブラウザで開くタブの数をある程度抑えることを意識して利用しないと、メモリを使い切って操作性に引っかかりなどが出るようになります。
また、ストレージが32GBだとWindows 10本体だけでかなりの容量を使ってしまって、データやアプリの追加を少し考えないといけなくなります。ストレージ32GBのパソコンでは、SDカードスロットがあるならば大容量のカードを常に入れておくようにして、アプリやデータをそちらに逃がす工夫が必要です。
ゲームは?
ではゲームの使い勝手はどうかと言いますと、1世代前のATOM(Z3775)を搭載しメインメモリ2GBのPCではこんな感じになります。
- 超老舗MMORPG ラグナロクオンライン
ごく普通にプレイ可能
大規模戦(GvGなど)は厳しいかも - ブラウザゲーム(Adobe FLASH利用の艦これなど)
画面のアニメーションが多くなる部分で画面描画が若干遅くなる程度
ごく普通に遊べる - ドラクエX
画面サイズ1280×720ドット、画質標準だと少し重そう
ベンチマークでは画面に表示されるキャラクターが増えると、明らかにコマ落ちが発生
また、現行世代のATOM x7 Z8700を搭載するSurface 3ではドラクエXは、画面サイズが1280×720ドットならば画質を最高にしてもベンチマークでかなり良い評価が出て、問題なく遊べる性能があります。
今のATOMはメモリの「デュアルチャンネルアクセス」が可能になっていて、それに対応している機種はグラフィック性能が大きく向上するようになっている影響ですね。
ただし、ATOMを搭載する低価格パソコンでは、メモリのデュアルチャンネルアクセスに対応する機種が存在しないと思います。設計その他にコストを要してしまう部分ですので、低価格パソコンとしてはやむを得ない部分かもしれません。
結局は使い道次第
結局は同じ結論に戻ってきてしまうのですが、低価格パソコンがストレスなく活用できるかどうかは、やはり使い道次第、ということになります。
主な使い道はオフィスソフトとネット、たまにブラウザゲームぐらい、といった場合には、低価格パソコンも十分に1台目のパソコンとして使えるだけの性能があります。
本格的な3Dもののゲームや本格的な写真の編集、動画編集と言った用途になると、低価格パソコンには荷が重くなります。
低価格パソコンはモバイルノートタイプの製品も多くなっていますので、低消費電力から来るバッテリー駆動時間の長さとも合わせ、初めてのサブ機としてのモバイルノートパソコンとしても適した性格と言えるでしょう。