パソコン選択の基準その1 ~ビデオカードをどうするか~
今の一般的なパソコン用CPUには画面描画を司るプロセッサの「GPU」が統合されているケースが増えました。
特にインテルのCPUは、ごく一部のCPU側の性能だけに特化したチップを除き、すべてのCPUにGPUがくっついています。このため、パソコンにビデオカードが必要となる基準が以前とは大きく変わりました。
今回はパソコン選びの際に迷うポイントの一つ、ビデオカードをどうするか、この部分に関してまとめてみます。
呼び方
まず最初に簡単に言葉の定義を書いてしまいましょう。
今は、CPUと一緒になっているGPUは「統合GPU」と呼ばれるケースが増えました。Integrated GPUを縮めて「iGPU」と呼ばれることもあります。この記事の中でもこのあとは、統合GPUをiGPUと書くことにします。
それに対してビデオカードなどに積まれる、別チップのGPUは「独立GPU」などと呼ばれることがあります。こちらはDescrete GPUを略して「dGPU」と呼んだりします。
GPUはビデオカードの主となるパーツの一つですが、パソコンの画面描画用のパーツとしては、GPUもビデオカード(またはグラフィックボード)もほぼ同一の意味で使われることが多くなっています。
非常に性能が高くなったiGPU
今のパソコンで使われるCPUにくっついてるiGPUは非常に性能が高くなりました。
例えば最新の世代のインテルのCoreプロセッサのiGPUは、数年前のエントリークラスのビデオカードに匹敵するか上回る性能があります。
ハイエンドのインテルのiGPUになると、今の世代のミドルクラスの底ぐらいのビデオカードに匹敵する性能を持っています。
このため、外部にビデオカードを積まなくても、ゲームまで含めた世の中に存在するソフトウェアの、恐らく90%以上のものを問題なく動かすことが可能になっています。
3Dもののゲームでも画面の描画負荷が軽いものであれば、ビデオカード無しで楽々動かせます。例えばドラクエXぐらいですと、普通のCoreプロセッサのiGPUで十分に遊べます。
dGPUが必要な使い途
上の話のつながりで行くと、残り10%以下のソフトを使うためにはdGPU、ビデオカードが必要になる、ということでもあります。
それらのほとんどは画面がとてもキレイな3Dもののゲームですね。
そういったゲームを画面の解像度を高く、例えばフルHD以上に設定して、画像の美しさも最高の設定にし、さらに1秒あたりの表示コマ数も高い状態に保つためには、ある程度の性能を持ったビデオカードが必要になります。
dGPUのほうは、今でも数年ごとに性能が倍になるぐらいのペースで進化を続けています。
このため、最新のミドルクラスのビデオカードがあると、世の中の恐らく99%のソフトは問題なく動作させられます。
それを超える性能を持つハイエンドのビデオカードは、残り1%のソフトを最高の画面設定でストレスなく動かすため「だけ」に必要とされていると考えてもらうと良いでしょう。
ごくごく一部、画面描画以外の目的でdGPUを使うケースも
単純に数値の計算だけをグルグル回し続けるような使い途をさせると、GPUというのはものすごいパワーを発揮してくれます。数字の計算の性能だけであればGPUの計算能力はCPUの数倍以上のものすごいパワーがあります。
最新のハイエンドのdGPU 1つで初期のスーパーコンピュータに匹敵するような、スペック上の演算性能があったりします。最新のスーパーコンピュータの一部はGPUを大量につなげて作られているものもあります。
こういった目的で、GPUを本来の画面描画以外のために使うソフトもわずかながら存在しています。そういったソフトを効率よく動かすためには、dGPU、ビデオカードが必要となってきます。
また最新のGPUには、動画の変換をハードウェアで効率よく行う仕組みが内蔵されていることがあります。この機能を利用するためにビデオカードを搭載することもあり得ます。
まとめ
パソコンを購入する際にビデオカードを積むかどうかは、本体価格に結構大きく響く部分です。購入したパソコンを何に使いたいのかよ~く考えた方がいい理由の一つですね。
ただ、上にも書きましたように、今のiGPUはすごく性能が良くなっています。3Dもののゲームでもちょっと古めのMMORPGなんかはビデオカード無しでも楽々動いてしまったりします。
ですので、ゲームに使うことを考えている方は、遊びたいゲームのタイトルから必要なパーツを考えると良いでしょう。
自分でビデオカードの追加などの作業が行えるユーザーは、dGPUなしでパソコンを組んでみて、目的のソフトを動かして性能面の不足がある時にだけ、あとからビデオカードを追加するという方法もあります。
パソコン購入後、遊ぶゲームがもっと高度なものになることもあり得るときには、パソコン本体はデスクトップパソコンを選んでおいて、ビデオカードの追加とか交換に対応できるようにしておくのが安全マージンを高く取れるやり方です。