極めてユニークなアプローチのエルゴノミック(?)キーボード「Mistel Barocco」

MiSTEL BAROCCO MD600 分離式 メカニカルキーボード 英語配列 62キー CHERRY 赤軸 PBTキーキャップ ブラック MD600-RUSPLGAA1

通常の形のパソコンのキーボード、実はあまり人間工学的には良い形と言えないことはご存じですか?

きちんと両手のホームポジションに手の指を置くためには、自然と両腕はハの字型に肩幅より手のひらを狭める向きにしないといけません。

その状態でそれぞれの指をきちんとキーに置くためには、手首は常に外側に開いた状態を保つ必要があります。

キー入力を行う間はずっと手首を少し外側に開く状態を保たないといけませんので、これが余分な疲れや、場合によっては腱鞘炎などにもつながる理由の一つとも言われています。

これが原因の疲れなどを少しでも軽減できるようにと考えられたのが、「エルゴノミックキーボード」、人間工学的キーボードと呼ばれるタイプの製品です。

今回は極めてユニークなアプローチから、人間工学的対応も可能にしたキーボードである「Mistel Barocco」を取り上げてみます。

一般的なエルゴノミックキーボード

一般的に良くあるタイプのエルゴノミックキーボードの代表格は、マイクロソフトのナチュラルエルゴノミックキーボードシリーズあたりになると思います。

右手の守備範囲と左手の守備範囲のキーを分離して少しハの字型に開いた形で、さらにキーボード中央部が盛り上がるような形として、手首の関節部の負担を極力小さく出来るような形態を取る製品です。

ホームポジションの取り方が一般的でないユーザーや、タイピングに少し癖のあるユーザーには、逆にものすごく使いにくくなる可能性もあるキーボードです。

ただ、人間工学的にはとても理にかなった形をしていますので、これになれてくると疲れの度合いもそれなりに変わってくる可能性が高い製品です。

Mistel Baroccoの独創的アプローチ

このキーボードはキーボード本体自体を、右手用のキー分、左手用のキー分で分離できるようにしてしまった、かなり強引なアプローチを取ることで、人間工学的な対応を可能にしました。

左右別々に自由な配置が出来ますから、それぞれをハの字型に少し開いた形で設置すれば、手首の無理の少ないキーの角度が簡単に実現できるわけです。

ただ、分離したその様子はかなり異様な見た目で、全く何も知らない人が見たら、どこかの誰かが怒り狂ってキーボードを破壊した、と勘違いしてしまうかもしれません。

もちろん、Mistel Baroccoは左右のユニットをドッキングさせて、普通のキーボードとしても利用することが出来ます。

超コンパクトタイプ

Mistel Barocceのもう一つの特徴は、ファンクションキーやカーソル移動キーまで省いてしまった超コンパクトタイプのキーボードだと言うことです。

19mmピッチの、いわゆるフルキーピッチのキーボードとしてはほぼ最小クラスのコンパクトさが実現されています。

ファンクションキーやカーソル移動キーが必要な場合には、専用のキーを押しながら別のキーを一緒に押すことで機能する仕組みになっていて、そちらを多用するユーザーにはちょっと慣れを要求する製品です。

キースイッチはこだわりのCherry MX製

Mistel Baroccoはキースイッチにもこだわりのものを採用しています。

タッチの良さと耐久性の高さから非常に高い人気を誇るCherry MXのものを採用していて、キータッチ、クリック音などの違いから5種類あるキースイッチ、すべてに対応する製品が準備されています。

Cherry MXのキースイッチはとてもタイピングして心地良い製品ですが、難点はタイプ時の打鍵音がかなり高めなことが上げられます。

自室で使う分には何も問題はないと思いますが、職場などでは他の人の迷惑になりかねないレベルの音が出ますので、使う場所には気をつけた方が良いでしょう。

さらにこだわりの機能も

一般的なキーボードの配列であるQWERTY配列というのも、実はあまりタイピングに向いた配列ではありません。

基本的にアルファベットのキー配置は英語入力に合わせて作られるはずのものですが、文字の出現確率などをほぼ無視した形で配置が決められているのがQWERTY配列になっています。

機械式のタイプライターでハンマーを動かすためのピンが絡まないよう、敢えて速く打ちにくい配置にした、などというお話が出るような配置でもあるのです。

そのあたりを改善した配列として「Dvorak配列」などがありますが、Mistel Baroccoは設定を変えることでこちらの配列でも利用可能になっています。

また、ゲームなどでも使えるマクロ機能を備えていて、そちらをフル活用することで、右手用ユニットだけですべての文字の入力が出来るようになるモードまで備えています。

左半分だけで、ゲームやCADなどの左手用キーボードとしての利用も考えられるなど、非常に「変態的」な機構ながら、実は実用性も高いかなり面白い製品に仕上がっています。

さすがに価格はかなり高めの製品になっていますが、高品位でかなり高機能に仕上がった魅力的なキーボードになっています。

コンパクトサイズのキーボードが欲しいユーザーにもぴったりの製品の一つになるかもしれません。