内蔵GPU性能がAMD製CPUを超えた?インテル最強の統合GPU採用CPU搭載のNUC登場

Intel Next Unit of Computing Kit NUC6i7KYK - Barebone - mini PC - 1 x Core i7 6770HQ / 2.6 GHz - Intel Iris Pro Graphics 580 - GigE - WLAN : 802.11a/b/g/n/ac, Bluetooth 4.2

インテル自身が作り上げた超小型パソコンの規格に「NUC」というものがあります。CDケースぐらいの設置面積ですむ非常に小さな本体にノートパソコン向けのCoreプロセッサを搭載した、超小型ながら非常に性能も高いパソコンです。

このため一時大人気となり、パソコンを組み立てるためのベアボーンキットが売り切れになるショップが続出しました。

今は、大分人気が下火になった、というよりは、NUCがパソコンの選択肢の一つとして普通に存在するようになった、と考えた方が良いのかもしれません。

そのNUCと呼ばれるタイプのパソコンに、インテルがまた面白い機種を投入してきました。今度は、現在発売されているCoreプロセッサの中で最強のGPUを搭載したチップを載せた、ゲーム用途を強く意識した機種です。

今回はこの「Skull Canyon」と呼ばれるNUCをご紹介します。

搭載CPUはCore i7-6770HQ

Skull Canyonに搭載されるCoreプロセッサの型番はCore i7-6770HQで、高性能ノートパソコン向けのものです。クアッドコアCPUに現行のCoreプロセッサの中では最強の統合GPUを組み合わせたものとなっています。

CPU部分は定格2.6GHz駆動、ブースト時には最高3.5GHzまでクロックが上がり、デスクトップ向けのハイエンドCPUにも引けを取らない性能を持ちます。

また、統合されているGPUの方は通称「GT4e」と呼ばれるタイプのもので、インテルの呼び方では48EU、48の3D演算用ユニットを持つものです。他のメーカー製のGPUと合わせるなら、384SP相当になると思われます。

GPUが3Dの演算を行う際には大量のデータの読み書きが必要で、性能を発揮し続けるためには高速のメモリが必要になります。CPUに統合されているGPUでは常にメモリの性能が不足する難点を抱えていて、GPUがフル性能を発揮するのはとても難しくなっています。

ですがCore i7-6770HQは「eDRAM」と呼ばれる大容量の特殊なメモリをCPUと一緒に作り込むことで、十分なメモリの読み書き性能を確保しています。このおかげで、GPUの実性能が統合型CPUとしては非常に高いのが特徴になっています。

今はビデオカードに載るタイプのGPUの性能が非常に高くなったため、そちらと比べると控えめな性能と言えますが、Core i7-6770HQのGPUは5年ほど前のハイエンドGPUに迫る性能を持つぐらいまでになっています

CPUとGPUを加えたトータルの単純な演算性能では、実は現在のインテル製CPUでは最高性能になるかもしれない製品でもあったりします。

サイズは今までのNUCよりも少し大きく

Skull Canyonは今までのインテル製NUCとはちょっとサイズ、形が異なります。211mm x 116mmの長方形になって、普通に置くと設置面積はかなり大きくなりました。その代わり厚さは28mmとかなり薄くなっています。

なんにせよゲーム用にもある程度使える性能を持つパソコンが、これだけの小さな筐体に収まってしまっていることは、やはり驚異的と言えるでしょう。

AMD製のAPUの描画性能を超えた?

Core i7-6770HQの統合GPUの性能はかなりすごいもので、今まで統合GPUの性能ではAMDのAPUと呼ばれるタイプのチップがインテル製のCPUの描画性能を大きく超えていましたが、このCPUに限っては逆にほぼAMDのチップの性能を超えたと言ってもいいようです。

しかも消費電力の面ではCore i7-6770HQのTDPは45Wで、比較対象となりうる性能を持つAMDのAPUはTDP 95Wクラスのものになります。

消費電力と実性能の比で考えると、Skull Canyonのもつ性能はかなり驚異的、と言っても良いものになっています。

さすがに最新の3Dもののゲームを動かすには無理があるものの

パソコンの性能がどれだけアップしても、その分以上に最新の3Dゲームも重くなっていくため、このいたちごっこはどこまで行っても終わりそうにないのですが、こんな関係の繰り返しから最新のゲームは非常に重いものとなってしまっています。このため、Skull Canyonの3D性能がいかに高いと言っても、さすがに動作には少々無理があるようです。

ですが、数年前の普通の描画のレベルのゲームならば、3Dものでもかなり普通に動かせてしまう性能があります。

かつては3Dもののゲームと言えば、本格的なタワー型のデスクトップパソコンが欠かせなかったわけですが、今後は少し事情が変わってくることになりそうです。Skull Canyonの他にも、非常に高い3D性能を実現したゲーム用ノートパソコンなども出現していますから。